PM1401K-3M, PM1401K-3 取扱説明書
α・β・γ+中性子線対応、核種識別マルチサーベイメーター
エネルギー校正
測定器 PM1401K3, K3M は、放射線源(Eu152 または Th232)を使って、検出器のエネルギー校正を行うことができます。 こちらでは、エネルギー校正についてご紹介します。
放射線は、原子核から出てくるエネルギーですが、 元となる原子によって、放射線のエネルギーが異なっています。 たとえば、セシウム137 であれば、662 keV というエネルギーになっています。カリウムは、1504 keV です。
ガンマ線の場合には、光や電磁波に近いものなので原子核から出てきた放射線のエネルギーは 測定器までそのままエネルギーが変わることなく到達します。 このことを利用して測定器の検出器に入ってきたエネルギーを測定することで、元となる核種を識別しています。
測定器の中にある検出器は、放射線のエネルギーを測定できますが、 周りの温度があまりに冷たい、非常に暑い日などには、検出器の測定結果に誤差が生じます。 また経年劣化によっても誤差が生じます。誤差が生じるとセシウム137 のエネルギーを 662 keV と測定できなければならないところが、680 keV と測定してしまう場合があります。そうなると正しく核種識別ができません。
そこで、PM1401K3 測定器には、あらかじめ放射線のエネルギー値が分かっている特定の放射線源( Eu152, Th232 ) を測定して、温度や経年劣化による誤差を、自己修正できる機能が入っています。これをエネルギー校正と呼びます。
以下の手順でエネルギー校正を行うことができます。
放射線源を用意します。
Eu152 か Th232 の放射線源が必要です。購入した時期によって校正できる放射線源が異なります。 2017年以降の購入の場合にはEu152線源、それ以前の場合には、Th232 線源となります。
できるだけ被ばくを避けるために、線源はピンセット等で取り扱ってください。校正には、10分間かかります。人気のいない場所で、放置できる場所を探してください。
測定器のメニューからスペクトルを選択します。
上下ボタンで校正を選び右ボタン[ 選択 ]します。
画面には、カウント率(cps値) が表示されます。放射線源と測定器の間の距離を調節して、カウント数が 100~500カウントぐらいになるようにしてください。
この範囲のカウント数になるよう放射線の強さを調節することで、正確な校正ができるようになります。
緑色の矢印は、少し線量が低いことを示しています。放射線源により近づけてください。
赤色の矢印は、核種識別をするには、線量が高すぎることを示しています。この場合には、放射線源から遠ざけてください。
このマークは、放射線の強さが適切であることを示しています。
OK を押して次に進んでください。
10分間、このまま放置します。それまでの間は、測定器と線源から距離をとり、被ばくを避けてください。時計などで10分後に戻ってきて操作を続けてください。
測定器の画面の右上( T:176 )の文字は、経過秒数を示しています。600秒を超えた時点で、止めるボタンを押してください。
結果を測定器に保存するために、保存ボタンを押してください。
保存が完了すると、エネルギー校正が完了します。