法規制に対応した表面汚染密度[Bq/cm2]を測定

測定単位 Bq/cm2

放射能の表面汚染レベルを規制する国内の法律には、「放射線障害防止法」、「電離放射線障害防止規則」、「運輸則」の3つがあります。

国内の法律で定義されている表面・放射能密度の規制値は、測定単位 Bq/cm2です。この単位は、単位面積( 1cm2 )にある放射性物質からの毎秒出てくる放射線の数をベクレル(Bq)として定義しています。

40 Bq/cm2 は、単位面積(1cm2)から1秒間に出てくる放射線が40個という単位です。

ガンマ線・ベータ線

AT6130は、ガンマ線の空間線量率 ( µSv/h ) と、ベータ線の表面汚染( [Bq/cm2] )の2種類の放射線を1台で測定できます。

病院、放射線管理区域など放射線に関する業務で使う場合や、個人で身の回りの放射線を調査する場合でも、この1台で必要な測定のすべてを行うことができます。

積算線量の測定機能も搭載しており、1日や1ヶ月といった期間での総被ばく量を測定することができます。

分かりやすい操作性

測定器の電源を入れると、最初はガンマ線測定モードになります。マイクロシーベルト単位での測定を行うことができます。

裏面のフタを開くと、ベータ線モードに切り替わり、すぐに表面汚染( Bq/cm2 ) を測定できます。

液晶画面も日本語で表示されるため、画面の案内に従ってかんたんに操作できます。

X線測定と探索

新開発のGM管検出器(測定エネルギー範囲 20KeV~3MeV)によりガンマ線とエネルギーの低いX線にも対応しています。

探索機能は目に見えない放射線を、「警告音」の強さとして体感できる機能です。放射線の強い場所に近づくと、自動的に音が強く鳴り始めます。音の強さを頼りにして放射線の高い場所を体感的に知ることができます。

この機能は、室内や屋外で、放射線の強い場所に少しでも近づくと、音が鳴り始めますので調査を行う上ではとても便利な機能です。

日本の法律による表面汚染の規制値

各種の法律では、放射線による表面の汚染密度は、[Bq/cm2]で定義されています。AT6130 - 表面汚染サーベイメーターは、この単位を直接測定できるようになっています。

放射線障害防止法

放射線管理区域を定義する放射能表面密度 [Bq/cm2]の下限値

  • β・γ線核種: 40 [Bq/cm2]
  • α線核種: 4 [Bq/cm2]

放射線管理区域から持ち出しする場合の表面放射能密度 [Bq/cm2]の上限値。

  • β・γ線核種: 4 [Bq/cm2]
  • α線核種: 0.4 [Bq/cm2]

電離放射線障害防止規則

労働者の保護具、作業衣の表面汚染を定義。作業着が労働者に直接触れる部分は、この数値のさらに 1/10

  • β・γ線核種: 40 [Bq/cm2]
  • α線核種: 4 [Bq/cm2]

OIL 運用上の介入レベル

OIL4 表面汚染の除染基準(20cm2GM管)

  • β線: 40,000 [cpm]
  • β線(1ヶ月後): 13,000 [cpm]

AT6130は、有効窓面積 20cm2のGM管に換算したCPMを表示できます。換算表が不要です。

操作

AT6130 は、メニューから測定方法を切り替えることができます。

ガンマ線の測定

マイクロシーベルトの測定

測定器の電源を入れると、すぐにガンマ線の測定モードになります。空間線量率(マイクロシーベルト)の値が表示されます。

操作メニュー

マイクロシーベルトの測定

測定器の動作を選択するメニューボタンを押すと、日本語メニューが表示され項目を選択できます。

自動保存、ログ機能

マイクロシーベルトの測定

こちらは自動測定モードです。最短6秒おきに測定値を自動保存しログを取ることができます。

ベータ線の測定

マイクロシーベルトの測定

測定器の裏面のフタを開くと、自動的にベータ線測定モードに切り替わります。

測定単位は、Bq/cm2 です。各種の法律で規制されている表面汚染密度の規制値 4 [Bq/cm2], 40 [Bq/cm2] といった表面汚染を測定することができます。

探索モード

マイクロシーベルトの測定

探索モードは、放射線の強さに応じて音が強くなるモードで、音の強さを頼りに体感的に放射線の強い場所を探すことができます。 身の回りなど放射線がわずかに強い場所などを警告音の強さを頼りにして調査することができます。

表示メーターの中央から+方向にいけば放射線が強くなっている状態となります。

警告発動値の設定

マイクロシーベルトの測定

線量率(ガンマ線)、積算線量(ガンマ線)、表面汚染密度(ベータ線)のそれぞれに警告発動値を設定できます。

一定以上の放射線が検出されると、音と光警告で設定した基準値以上をお知らせします。

表面汚染密度の測定方法

表面汚染密度( Bq/cm2 ) の測定は、2段階で行われます。

第1段階(ガンマ線の背景放射線 µSv/h)の測定

ベータ線の測定を行う前に測定場所の「ガンマ線」の測定を行います。

マイクロシーベルトの測定

測定器の背面のフィルタを閉じます。

背面のフィルタは、金属でできているため、ガンマ線(γ)だけが測定できるようになります。

マイクロシーベルトの測定

操作メニューから「背景放射線」を選択します。

マイクロシーベルトの測定

しばらく時間をかけて背景放射線(シーベルト値)を測定します。

ここで行う「背景放射線(ガンマ線)」の測定は、最初に一度だけ行えばよい測定となります。

第2段階(ベータ線の表面汚染密度 Bq/cm2)の測定

続いてベータ線の測定です。

マイクロシーベルトの測定

測定器の背面のフィルタを開きます。

背面のフィルタは、薄い膜でできており、ガンマ線(γ)とベータ線(β)の両方が測定できるようになります。

フィルタを開いた状態では両方の放射線(β+γ)が測定されてしまうのですが、内部で計算を行い第1段階で測定したガンマ線(γ)を引き算した値=ベータ線だけの測定値が表示されます。

マイクロシーベルトの測定

第1段階で測定したガンマ線(γ)と第2段階で測定した(β+γ)の差分を取って、ベータ線だけの測定値が自動計算されます。

第2段階では、ベータ線の表面・放射能密度 Bq/cm2 が表示されます。

マイクロシーベルトの測定

測定対象物から 15mm の距離で測定器を固定して測定を続け、偏差(%)が下がってきたら測定値を読むことができます。

たろうまるがおすすめできる機種

いつもありがとうございます。たろうまるの中山です。

おすすめポイント

この機種 AT6130 は、小型でありながらガンマ線の線量率(シーベルト単位)での測定と、ベータ線の表面汚染までを1台で測定できる点がおすすめです。

私は、ベータ線による表面汚染を測定する必要性は、専門的な業務でない限りは必要がないと考えています。そのためこの機種は一般の方向けではありません。 一般の方であれば、ガンマ線のみを測定できるこちらの機種がおすすめです。

表面汚染密度サーベイメーター AT6130 は、放射性物質を扱う放射線管理区域と工場や、原子力災害時の対応を行う警察、消防、自治体におすすめできる機種です。

表面汚染(測定単位 Bq/cm2)を測定できますので、原子力災害などの緊急時に 防護措置を準備する区域での運用上の介入レベル(OIL)の項目OIL4「表面汚染密度」に対する測定を行うことができます。

  • OIL4 - 表面汚染密度 120 [Bq/cm2] (皮膚表面)
  • OIL4 - 表面汚染密度 40 [Bq/cm2](1ヶ月後)

緊急防護措置と早期防護措置のための OIL

基準の種類 測定項目 初期設定値 防護措置
緊急防護措置 OIL 1 空間線量率 500[μSv/h] 地上 1m 数時間以内に避難または屋外待避
OIL 4 表面汚染密度 40,000 [CPM]
120 [Bq/cm2]
皮膚表面 簡易除染等
13,000 [CPM]
40 [Bq/cm2]
1ヶ月後
早期防護措置 OIL 2 空間線量率 20[μSv/h] 地上 1m 1日以内に地域生産物摂取制限
1週間以内に一時移転

機種の比較

表面汚染密度を測定できる他社製品もご紹介いたします。他社と比べても AT6130は、小型・低価格で同じような測定を行うことができます。

カタログ値の比較 NHJ120 TGS-1146 AT6130
富士電機 日本レイテック 本機種
NHJ120 TGS-1146 AT6130
測定線種 β線、γ線 β線、γ線 β線、γ線
計数率 0~ 100,000 cpm 0~ 1,000 cps 0~ 230,000 cpm (*)
表面密度 0~9999 Bq/cm2 変換可能(範囲不明) 0~1,000 Bq/cm2
動作時間 100時間 120時間 500時間
電源 単3電池 単3電池 単4電池
大きさ 116 x 197.5 x 116 mm 100 x 210 x 150 mm 110 x 60 x 38 mm
重さ 1600 g 1200 g 250 g

(*) AT6130の CPM表示は、20cm2換算のGM管の値として表示されるようになっています。これは国内のOIL4の基準がそのようになっているためです。原子力災害発生時に避難される住民の方の衣服などの表面汚染を測定する場合に、 数値の変換なしでOIL4基準(40,000cpm, 13,000cpm)での測定が可能となっています。

広い指向性

AT6130 は、上下左右ともに良好な放射線特性を持っています。どの方向からの放射線でも短時間で検出することができます。

マイクロシーベルトの測定
マイクロシーベルトの測定

年間の追加被ばく線量1mSvと、空間線量率・毎時 0.23μSv/h

環境省では、除染を実施する地域の条件として毎時0.23マイクロシーベルト(μSv)以上の地域と定義しています。この測定器は空間線量計となっており、この数値を測定することができます。

その算出の基準となっているのは、年間で許容できる追加の被ばくを1ミリシーベルト(mSv/年)としたことです。

年間の被ばく量を一時間当たりに換算すると、毎時0.19 マイクロシーベルト(μSv/h)と考えられます。(1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4倍)のある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを仮定)。 さらに日本では平均的にどの地域でも自然放射線として毎時0.04マイクロシーベルト(μSv/h))があるため、これを加えて合計で0.19+0.04=0.23μSv/h という上限値が定められています。

身の回りでもこれより高い放射線が検出された場合には、注意が必要となります。

シーベルト単位は、スウェーデンの放射線物理学者で放射線防護に業績のあったシーベルト氏の名前に由来しています。

マイクロシーベルトの測定

たろうまるの安心サポート体制

高性能な放射線測定器を、ずっと安心してお使いいただくために、最高のサービスを提供したいと考えています。
いつでもご遠慮なくお問い合わせください。

校正と点検

たろうまるは、正規販売店です。

測定器の販売、点検・校正、技術サポートまで、メーカーの技術者から教育を受けたスタッフが対応しております。 購入頂いた線量計、放射線測定器、サーベイメーター、食品用放射線測定器は たろうまるを経由して、メーカーでの修理、点検、校正を行うことができます。

安心の修理体制

メーカー保証期間、保証後も、修理は承っております。

修理品の送料につきまして、
弊社側からの発送の場合は弊社負担、お客様側からの発送については、お客様のご負担となります。あらかじめご了承ください。

サポート

すべての製品は、10年間以上利用されることを想定した耐久性のある設計です。 お求めいただく測定器は、長い期間お使いいただく製品になります。

たろうまるでは、お客様が製品を使用している間ずっとサポートを行っていく体制をとっております。 使い方、修理、校正、点検など、あらゆる場面において技術スタッフが、いつでも対応しております。

放射能・表面密度測定メーター AT6130 仕様

  • 製品の分類

    • スクリーニング
    • サーベイメーター
    • 放射線測定器
  • サイズと重さ

    高さ : 110 mm
    幅 :60 mm
    厚さ :38 mm
    重さ :250 グラム
  • 検出器

    ガイガーカウンター検出器
  • 表示

    日本語液晶ディスプレイ
  • ガンマ線・X線の空間線量率の測定範囲

    0.1 [µSv/h] ~ 10 [mSv/h]
  • ガンマ線・積算線量の測定

    0.1 [µSv] ~ 100 [mSv]
  • ガンマ線・カウント率の測定

    0.1 [cps] ~ 104 [cps]
  • ベータ線・表面汚染密度の測定

    0 Bq/cm2 ~ 1000 Bq/cm2
  • 測定の固有相対誤差

    ±20%
  • エネルギー範囲(ガンマ線)

    20 [keV] ~ 3 [MeV]
  • エネルギー範囲(ベータ線)

    155 [keV] ~ 3.5 [MeV]
  • 感度(ガンマ線 137Cs)

    2.8 [cps/µSv/h]
  • 感度(ベータ線 90Sr+90Y)

    0.05 [cps/cpm/cm2]
  • エネルギー依存性

    ±30%
  • 線量率に対する応答

    7秒以内(1µSv/hから10µSv/hへの変化
  • 生涯耐久線量

    100 [Sv]
  • 電池

    単四電池2本
  • 動作時間

    500時間以上
  • 落下試験

    1.5 m
  • 防水・防塵

    IP 57
  • 動作温度範囲

    -20 [度] ~ +55 [度]
  • 動作湿度

    95%以下 (35度以下、結露なし)
  • 国際規格

    IEC 60325
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