化学剤を“色"で判定する、CBRN対策向け高感度検知管

化学災害やテロ対応の現場では、迅速かつ確実に化学剤の有無を判断できることが重要です。
化学剤検知管は、電源や電子機器を必要とせず、化学剤の存在を色の変化によって直感的に判定できる CBRN対応向けのシンプルな検知手段です。



主要な化学剤をカバー

化学剤(CWA)、有毒工業化学物質(TIC)の2シリーズ、全22種類の化学剤検知器を提供。

神経剤(G/V)、マスタード、ホスゲン・シアン系、催涙剤、BZ など、警察、消防、自衛隊、CBRN 対策現場で必要とされる化学剤、有毒化学物質を網羅しています。

高感度で検出

検知管は、数 mg/m3レベルを検知できる感度があります。

特に神経剤検知管は、化学反応を利用するタイプ、生化学反応を利用するタイプの2種類があり、神経剤を総合的に検知できます。

化学剤・有毒工業化学物質の検知で明確に色が変化し、誰でも視覚的に判定できます。

電源不要

電源不要・どこでも使えるシンプル操作です。

使い方は、検知管の両端を折り、ハンドポンプで空気を吸引。色の変化を見るだけで判定可能。

低温時(10℃以下)は市販使い捨てカイロで低温環境でも検知可能です。

5年保管

保管寿命は5年です。

Hg・Os など有害物質を使用しない環境配慮型の検知管です。

訓練用の模擬剤(STシリーズ)が用意されており、実剤を使わず実運用に近い訓練を行えます。

警察・消防・自衛隊・CBRNラボ車両など幅広いユーザーに対応した設計です。

CBRN対策検知管

検知管は、吸引した空気中の化学兵器用の薬剤(化学剤)に反応し、指示層の色変化で有無を判定します。
CBRN(CWA)向けの化学剤検知管シリーズと、TIC(有毒工業化学物質)検知管シリーズを用途別に整理しました。


化学剤(CWA)検知管シリーズ

神経剤

DT10 G剤 神経剤検知管

DT10 G剤 神経剤検知管
化学剤: G剤( GA, GB, GD, GF, GP, GV )
感度: 0.5 mg/m3
識別: DT10 識別マーク赤1本線
色変化:
化学剤検知器 DT10(神経剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT10(神経剤)- 検知後 0.5 mg/m3
0.5 mg/m3
化学剤検知器 DT10(神経剤)- 検知後 5 mg/m3
5 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT10

DT10 は、G 系神経剤に特化した検知管です。アミノペルオキシド反応に基づく化学反応を利用し、指示層の色変化によって有無判定を行います。

操作がシンプルで、現場における迅速な一次確認に適しており、G 系神経剤の初動検知用途として使用されます。

DT11 神経剤 総合検知管

DT11 神経剤 総合検知管
化学剤: G剤, GV剤, V剤, ノビチョク, (GA, GB, GD, GF, GP)
感度: 0.05 mg/m3
識別: DT11 識別マーク赤3本線
色変化:
化学剤検知器 DT11(神経剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT11(神経剤)- 検知後 0.05mg/m3
0.05 mg/m3 検知(色変化なし)
化学剤検知器 DT11(神経剤)- 検出されず、感度以下
検出されず、感度以下
仕様: 化学剤検知管 DT11

DT11 は、G 系および V 系を含む神経剤を総合的に検知できる検知管です。アセチルコリンエステラーゼ阻害に基づく生化学的検知方式を採用しています。

微量の神経剤にも高い感度で反応し、神経剤の種類を限定しない初動スクリーニングに適しています。

血液剤・窒息性剤

DT12 血液剤・窒息剤検知管

DT12 血液剤・窒息剤検知管
化学剤: ホスゲン, ジホスゲン, 塩化シアン, シアン化水素, (CG, DP, CK, AC)
感度: 5 mg/m3
識別: DT12 識別マーク緑2本線
色変化:
化学剤検知器 DT12 上層(ホスゲン・ジホスゲン,CG,DP) - 検知前
CG,DP 検知前
化学剤検知器 DT12 上層(ホスゲン・ジホスゲン,CG,DP) - 検知後
5 mg/m3
色変化:
化学剤検知器 DT12 中層(塩化シアン,CK) - 検知前
CK
化学剤検知器 DT12 中層(塩化シアン,CK) - 検知後
5 mg/m3
色変化:
化学剤検知器 DT12 下層(シアン化水素,AC)- 検知前
AC 検知前
化学剤検知器 DT12 下層(シアン化水素,AC)- 検知後
5 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT12

DT12 は、血液剤および窒息剤に分類される化学剤を対象とした検知管です。ホスゲンおよびジホスゲン、塩化シアン、シアン化水素の検知に対応しています。

検知管内部には 3 層の指示層が配置されており、上層でホスゲン類、中央層で塩化シアン、下層でシアン化水素を検知します。それぞれ異なる化学反応系に基づき、指示層ごとに特有の色変化を示します。

びらん剤(マスタード系)

DT13 びらん剤(マスタード)検知管

DT13 びらん剤(マスタード)検知管
化学剤: 硫黄マスタード, 窒素マスタード(H, HD, HN)
感度: 1 mg/m3
識別: DT13 識別マーク黄1本線
色変化:
化学剤検知器 DT13(びらん剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT13(びらん剤)- 検知後 1mg/m3
1 mg/m3
化学剤検知器 DT13(びらん剤)- 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT13

DT13 は、硫黄マスタードおよび窒素マスタード系のびらん剤を対象とした検知管です。硫黄マスタード(H, HD)およびナイトロジェンマスタード(HN)の検知に対応しています。

検知は、4-(p-ニトロベンジル)ピリジンとのアルキル化反応に基づいて行われます。試薬アンプルを破砕して指示層に浸透させることで、指示層が青色へ変化します。

DT15 びらん剤(マスタード)検知管

DT15 びらん剤(マスタード)検知管
化学剤: 硫黄マスタード(H, HD)
感度: 3 mg/m3
識別: DT15 識別マーク黄2本線
色変化:
化学剤検知器 DT15(びらん剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT15(びらん剤)- 検知後 3mg/m3
3 mg/m3
化学剤検知器 DT15(びらん剤)- 検知後 30mg/m3
30 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT15

DT15 は、硫黄マスタード(H, HD)に特化したびらん剤用検知管です。蒸気状マスタードの存在を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、マスタードと 4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンおよび過塩素酸マグネシウムとの付加錯体形成に基づいて行われ、指示層は黄色からオレンジ色(条件により赤色)へ変化します。

DT16 びらん剤(窒素マスタード)

DT16 びらん剤(窒素マスタード)
化学剤: 窒素マスタード(HN-1, HN-2, HN-3)
感度: 1 mg/m3
識別: DT16 識別マーク黄3本線
色変化:
化学剤検知器 DT16(びらん剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT16(びらん剤)- 検知後 1mg/m3
1 mg/m3
化学剤検知器 DT16(びらん剤)- 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT16

DT16 は、窒素マスタード(HN 系)に特化した検知管です。HN-1、HN-2、HN-3 の各タイプを対象としています。

検知はドラゲンドルフ試薬との反応に基づいて行われます。アンプルを破砕して試薬を指示層に浸透させることで、指示層が黄色からオレンジ色へ変化します。

ヒ素系化学剤

DT14.1 ルイサイト検知管

DT14.1 ルイサイト検知管
化学剤: ルイサイト( L )
感度: 1 mg/m3
識別: DT14.1 識別マーク黄1本線・黄1丸
色変化:
化学剤検知器 DT14.1(びらん剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT14.1(びらん剤)- 検知後 1mg/m3
1 mg/m3
化学剤検知器 DT14.1(びらん剤)- 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT14.1

DT14.1 は、ルイサイト(L)に特化した検知管です。他のヒ素系化学剤やルイサイト類似体に対して反応しない高い選択性を有します。

検知は、ルイサイトの加水分解により生成したアセチレンと、改良型ロスベイ(Llosvay)試薬との反応に基づいて行われます。アンプル内の水酸化ナトリウム溶液を指示層に浸透させることで、指示層が白色からピンク色へ変化します。

無力化剤

DT20 BZ(無力化剤)検知管

DT20 BZ(無力化剤)検知管
化学剤: キヌクリジルベンザレート( BZ )
感度: 1 mg/m3
識別: DT20 識別マーク白1本線
色変化:
化学剤検知器 DT20(無力化剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT20(無力化剤)- 検知後 1mg/m3
1 mg/m3
化学剤検知器 DT20(無力化剤)- 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT20

DT20 は、無力化剤 BZ(キヌクリジルベンザレート)を対象とした検知管です。既知の化学剤の中で、BZ に特有の色変化を示します。

検知はマルキス(Marquis)試薬との反応に基づいて行われます。アンプルを破砕して試薬を指示層に浸透させることで、指示層が白色から緑~青色へ変化します。

催涙剤

DT21 CN(催涙剤)検知管

DT21 CN(催涙剤)検知管
化学剤: クロロアセトフェノン( CN )
感度: 0.5 mg/m3
識別: DT21 識別マーク白2本線
色変化:
化学剤検知器 DT21(催涙剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT21(催涙剤)- 検知後 0.5mg/m3
0.5 mg/m3
化学剤検知器 DT21(催涙剤)- 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT21

DT21 は、催涙剤である CN(クロロアセトフェノン)を対象とした検知管です。空気中の CN 蒸気を、指示層の明瞭な色変化によって検知します。

検知は、m-ジニトロベンゼンとのツィンメルマン反応に基づいて行われます。アンプル内の水酸化ナトリウム溶液を指示層に浸透させることで、指示層が白色からラズベリーレッドへ変化します。

DT22 CS(催涙剤)検知管

DT22 CS(催涙剤)検知管
化学剤: クロロベンジリデンマロノニトリル( CS )
感度: 1 mg/m3
識別: DT22 識別マーク白3本線
色変化:
化学剤検知器 DT22(催涙剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT22(催涙剤)- 検知後 1mg/m3
1 mg/m3
化学剤検知器 DT22(催涙剤)- 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT22

DT22 は、催涙剤である CS(クロロベンジリデンマロノニトリル)を対象とした検知管です。空気中の CS を、指示層の色変化によって検知します。

検知はクロラニルとの反応に基づいて行われます。アンプル内の水酸化アンモニウムとエタノールの混合溶液を指示層に浸透させることで、指示層が白色から紫色へ変化します。

DT27 CR(催涙剤)検知管

DT27 CR(催涙剤)検知管
化学剤: ジベンゾオキサゼピン( CR )
感度: 0.1 mg/m3
識別: DT27 識別マーク白2本線・白2丸
色変化:
化学剤検知器 DT27(催涙剤)- 検知前
検知前
化学剤検知器 DT27(催涙剤)- 検知後 0.1mg/m3
0.1 mg/m3
化学剤検知器 DT27(催涙剤)- 検知後 1mg/m3
1 mg/m3
仕様: 化学剤検知管 DT27

DT27 は、催涙剤である CR(ジベンゾオキサゼピン)を対象とした検知管です。CR に特異的な反応を示し、微量濃度での検知に対応しています。

検知はジアゾカップリング反応に基づいて行われます。CR がジアゾ化試薬として作用し、生成したジアゾニウム塩がブラットン・マーシャル試薬と結合して特徴的なアゾ染料を形成することで、指示層が白(やや黄)から赤~紫色へ変化します。

TIC 検知管シリーズ(有毒工業化学物質)

窒息性・刺激性ガス

DT001 ホスゲン検知管

DT001 ホスゲン検知管
化学物質: ホスゲン(COCl2), ジホスゲン
感度: 0.5 mg/m3
識別: DT001 COCl2
色変化:
TIC・検知管 DT001 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT001 - 検知後 0.5mg/m3
0.5 mg/m3
TIC・検知管 DT001 - 検知後 2mg/m3
2 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT001

DT001 は、有害工業化学物質(TIC)であるホスゲンを対象とした検知管です。空気中のホスゲンおよびジホスゲンを、指示層の色変化によって検知します。

検知は、4-(p-ニトロベンジル)ピリジンとの反応に基づいて行われ、四級アンモニウム塩の生成により、指示層が黄色から赤色へ変化します。

DT003 塩素検知管

DT003 塩素検知管
化学物質: 塩素(Cl2
感度: 3 mg/m3
識別: DT003 Cl2
色変化:
TIC・検知管 DT003 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT003 - 検知後 3mg/m3
3 mg/m3
TIC・検知管 DT003 - 検知後 15mg/m3
15 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT003

DT003 は、有害工業化学物質(TIC)である塩素を対象とした検知管です。空気中の塩素を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、塩素が臭化カリウムと反応して生成する臭化物が、フルオレセインと反応することにより赤色を呈する反応に基づいています。

DT004 酸化窒素類検知管

DT004 酸化窒素類検知管
化学物質: 酸化窒素類(NOx)
感度: 2 mg/m3
識別: DT004 NOx
色変化:
TIC・検知管 DT004 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT004 - 検知後 2mg/m3
2 mg/m3
TIC・検知管 DT004 - 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT004

DT004 は、有害工業化学物質(TIC)に分類される酸化窒素類(NOx)を対象とした検知管です。空気中の NOx を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、酸化窒素類がヨウ化カリウムと反応してヨウ化物を生成する反応に基づいており、指示層が白色から黄色~茶色へ変化します。

DT005 二酸化硫黄検知管

DT005 二酸化硫黄検知管
化学物質: 二酸化硫黄(SO2
感度: 5 mg/m3
識別: DT005 SO2
色変化:
TIC・検知管 DT005 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT005 - 検知後 5mg/m3
5 mg/m3
TIC・検知管 DT005 - 検知後 20mg/m3
20 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT005

DT005 は、有害工業化学物質(TIC)である二酸化硫黄(SO2)を対象とした検知管です。空気中の二酸化硫黄を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、二酸化硫黄がエルマン試薬と反応して有色のチオラートを生成する反応に基づいており、指示層が白色から黄色へ変化します。

シアン化合物

DT002 シアン系検知管

DT002 シアン系検知管
化学物質: シアン化水素(AC), 塩化シアン(CK)
感度: 3 mg/m3
識別: DT002 AC / CK
色変化:
TIC・検知管 DT002(AC) - 検知前
検知前(AC)
TIC・検知管 DT002(AC) - 検知後 3mg/m3
3 mg/m3
TIC・検知管 DT002(AC) - 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
色変化:
TIC・検知管 DT002(CK) - 検知前
検知前(CK)
TIC・検知管 DT002(CK) - 検知後 3mg/m3
3 mg/m3
TIC・検知管 DT002(CK) - 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT002

DT002 は、有害工業化学物質(TIC)であるシアン化水素(AC)および塩化シアン(CK)を対象とした検知管です。空気中のシアン系化合物を、指示層の色変化によって検知します。

シアン化水素は、ピリジン存在下で 4-ニトロベンズアルデヒドと反応し有色のベンゾインを生成します。塩化シアンは、ケーニッヒ反応によりピリジンおよびジメドンと反応し、ポリメチン染料を生成することで発色します。

腐食性・刺激性(酸・アルカリ)

DT009 塩化水素検知管

DT009 塩化水素検知管
化学物質: 塩化水素(HCl)
感度: 10 mg/m3
識別: DT009 HCl
色変化:
TIC・検知管 DT009 - 検知前
TIC・検知管 DT009 - 検知後 10mg/m3
10mg/m3
TIC・検知管 DT009 - 検知後 30mg/m3
30mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT009

DT009 は、有害工業化学物質(TIC)である塩化水素(HCl)を対象とした検知管です。空気中の塩化水素を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、塩化水素がアルカリと反応して生じる pH 変化を、メチルオレンジを含む酸塩基指示薬によって示す方式です。指示層は、メチルオレンジを含浸させたシリカゲル 1 層で構成されています。

DT008 アンモニア検知管

DT008 アンモニア検知管
化学剤: アンモニア(NH3
感度: 50 mg/m3
識別: DT008 NH3
色変化:
TIC・検知管 DT008 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT008 - 検知後 50mg/m3
50 mg/m3
TIC・検知管 DT008 - 検知後 200mg/m3
200 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT008

DT008 は、有害工業化学物質(TIC)であるアンモニア(NH3)を対象とした検知管です。空気中のアンモニアを、指示層の色変化によって検知します。

検知は、アンモニアとリン酸との反応による pH 変化を、臭素クレゾールグリーンを含む酸塩基指示薬で示す方式です。検知管は、臭素クレゾールグリーン、リン酸、グリセリンを含浸させたシリカゲルの指示層 1 層で構成されています。

還元性・有毒ガス

DT006 硫化水素検知管

DT006 硫化水素検知管
化学物質: 硫化水素(H2S)
感度: 5 mg/m3
識別: DT006 H2S
色変化:
TIC・検知管 DT006 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT006 - 検知後 5mg/m3
5 mg/m3
TIC・検知管 DT006 - 検知後 30mg/m3
30 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT006

DT006 は、有害工業化学物質(TIC)である硫化水素(H2S)を対象とした検知管です。空気中の硫化水素を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、硫化物が銅イオンと反応して有色の硫化銅を生成する反応に基づいています。

DT011 一酸化炭素検知管

DT011 一酸化炭素検知管
化学物質: 一酸化炭素(CO)
感度: 30 mg/m3
識別: DT011 CO
色変化:
TIC・検知管 DT011 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT011 - 検知後 30mg/m3
30 mg/m3
TIC・検知管 DT011 - 検知後 1000mg/m3
1000 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT011

DT011 は、有害工業化学物質(TIC)である一酸化炭素(CO)を対象とした検知管です。空気中の一酸化炭素を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、三価鉄が二価鉄へ還元され、o-フェナントロリンと有色錯体を形成する反応に基づきます。

有機溶剤・工業薬品

DT007 二硫化炭素検知管

DT007 二硫化炭素検知管
化学剤: 二硫化炭素(CS2
感度: 20 mg/m3
識別: DT007 CS2
色変化:
TIC・検知管 DT007 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT007 - 検知後 20mg/m3
20 mg/m3
TIC・検知管 DT007 - 検知後 50mg/m3
50 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT007

DT007 は、有害工業化学物質(TIC)である二硫化炭素(CS2)を対象とした検知管です。空気中の二硫化炭素を、指示層の色変化によって検知します。

検知は、二硫化炭素が銅イオンおよびピペラジンと反応し、着色した銅ジチオカルバメートを生成する反応に基づいています。

DT010 ホルムアルデヒド検知管

DT010 ホルムアルデヒド検知管
化学物質: ホルムアルデヒド(HCHO)
感度: 0.5 mg/m3
識別: DT010 HCHO
色変化:
TIC・検知管 DT010 - 検知前
検知前
TIC・検知管 DT010 - 検知後 0.5mg/m3
0.5 mg/m3
TIC・検知管 DT010 - 検知後 10mg/m3
10 mg/m3
仕様: 有害工業化学物質検知管 DT010

DT010 は、有害工業化学物質(TIC)であるホルムアルデヒド(HCHO)を対象とした検知管です。空気中のホルムアルデヒドを、指示層の色変化によって検知します。

検知は、ホルムアルデヒドが特定の試薬と反応して有色の 6-メルカプト-5-トリアゾール-(4,3-b)-s-テトラジンを生成する反応に基づいています。

実剤(化学兵器用の薬剤)による試験・検証実績

本ページで紹介するOritest社の製品は、国家機関が管理するCBRN専門施設において、実際の神経剤等を用いた公式試験を受け、 確実に検知できることが検証されています。 これらの試験は、各国の法令および国際的な管理体制の下で、 限定された環境において実施されています。


DETEHIT

液体・気体用 神経剤検知紙

PDFVVÚ 試験結果

試験場所: Vojenský výzkumný ústav(VVÚ) 、Military Research Institute(チェコ共和国)、チェコ国防省直属の国立軍事研究所。

VVÚは、NATO 加盟国において実際に神経剤(GB / GD / VX)を取り扱うことができる欧州最高レベルの信頼性を持つCBRN試験機関です。

試験は、規定濃度(約 1 µg/m3)のガス状神経剤(サリンGB / ソマンGD / VX)と、ブランク試験の比較で実施。

CALID-3

液体用 化学剤検知紙

PDF TNO 試験結果

試験場所: TNO Defence, Safety and Security , オランダ国防分野を担う国家応用科学研究機関。(TNO)。

TNO Defence は、欧州最大級の CWA(Chemical Warfare Agents)実剤試験施設 を有する国家研究機関であり、NATO 諸国における 化学剤防護・検知技術評価の中核的存在。

試験は、実際の化学兵器用の薬剤 GB(サリン)/HD(マスタード)/VX を用いた公式性能試験として実施。

CALID-3

液体用 化学剤検知紙

PDF SUJCHBO 結果

試験場所: Státní ústav jaderné, chemické a biologické ochrany(SUJCHBO) ,チェコ共和国におけるCBRN・核・化学・生物防護の国立研究センター。

試験は、実際の化学兵器用の薬剤を用い、CALID-3 が化学剤に対して確実に反応・検知することを 公式試験として検証。

CBRN検知管

化学剤用 検知管シリーズ

PDF VVÚ 試験内容

試験場所: Vojenský výzkumný ústav(VVÚ) 、Military Research Institute(チェコ共和国)、チェコ国防省直属の国立軍事研究所。

VVÚは、NATO 加盟国において実際に神経剤(GB / GD / VX)を取り扱うことができる欧州最高レベルの信頼性を持つCBRN試験機関です。

試験は、神経剤用検知管(DT11 を含む)を用い、 実際の化学兵器用の薬剤 GB(サリン)/GD(ソマン)/VX に対して、確実に検知反応が得られることを検証。

各機関が発行した試験報告書が必要な場合には、秘密保持契約書を締結の上、検証結果データをお渡しできます。

検知管の使い方

検知管の使い方は、それぞれ少しだけ異なります。 ここでは大部分の検知管で共通の使い方をご紹介いたします。

知識

検知管の構造を知る

検知管には向きがあり、識別マークが付いた方が常に「上」です。

化学剤用の検知管の構造、アンプル、識別マークの位置

(1) 識別マーク

検知管は22種類あります。異なる検知管を区別するために、赤1本線、黄色3本線といった検知管を区別するための識別マークが付いています。

(2) アンプル

アンプルはガラス封入された液体試薬です。検知管の使用手順に従ってアンプルのガラスを割って試薬を混ぜ合わせます。

(3) 支え

支えは、指示層の薬剤を支えているセルロース層です。星形のプラスチックでアンプル内の試薬が隙間を通過できる構造です。

(4) 指示層

指示層は、結晶体や固形の化学薬剤です。検知する結果を色変化で表示する部分です。

上下の確認

検知管には向きがあり、識別マークが付いた方が常に「上」です。 ポンプをつなぐときは、「下」側がポンプへ差し込みます。

知識

検知管を温める(10°C以下の場合)

検知管の指示層は、化学反応による色変化で有害物質を判定します。 ただし、周囲温度が 10°C以下になると反応が遅くなり、正しい色変化が得られない場合があります。

低温環境では、検知管を 軽く温めてから使用してください。 温めには 市販のカイロを使用できます。検知管セットにもカイロが付属しています。

検知管を温めるタイミング

  1. 検知管を使う前
  2. 検知管にポンプで空気を送り込んだ後

化学剤用の検知管は反応を促進させるためカイロでほんのり暖かくなるまで加温が必要です
手順1

箱に印刷されている使い方を確認する

有効期限の確認

有効期限を確認してください。 製造から5年間、利用できます。 10℃以下で検知管を使用する場合は、ポンプを使う前後で使い捨てカイロなどをで温めてください。


検知管の使い方は箱ラベルに記載されています。使用温度10~50度や、ポンプの前後で加温が必要なことが記載されています。

検知管の種類の確認

検知管の種類を確認してください。 検知管は黄色3本線や、赤2本線など識別マークで 検知管を区別できます。


検知管には、識別の色が記載されています。たとえば黄色3本線は、NH窒素マスタードの検知管といった具合で色の本数で検知管を区別できます。

検知管の使い方の確認

箱の説明文を読めば使えるようになっています。検知管ごとに説明が違うため、使う前に手順を理解してください。


検知管の具体的な使い方が丁寧に解説されています。

手順2

検知管の両端を折る

検知管は、検知管オープナーで両端の折ることで空気が通過できるようになります。

検知管は、両端がガラスで密封された構造になっており、そのままでは内部を空気が通過できません。

化学剤を検知するためには、検知管オープナーを使って両端のガラス封止を安全に折り、管内に空気の通り道を作る必要があります。

検知管オープナーで両端を折って開封してください。ガラス片が飛びます。

検知管のガラスを割って開封する際に細かいガラスの破片が出てきます。安全のため、化学物質に対応したゴム手袋をご利用ください。

知識

検知管オープナーの使い方

  1. 検知管の両端を折る(オープナー上部の穴を使用)

    オープナー上部の丸穴に検知管を差し込み、ねじりながらガラス封止された両端を順番に折ります。 これにより、ポンプで吸引した空気が検知管内部を通過できる状態になります。

  2. 検知管内部のアンプルを割る(底部の穴と串を使用)

    検知管には、化学反応を起こすための液体試薬が入ったアンプルが内蔵されています。 オープナー底部の穴に検知管を挿入し、付属の串(ピン)を使って 内部のアンプルを割ります。

  3. アンプルを割るタイミング

    割るタイミングは、検知管の種類ごとに異なります。詳細は 検知管の箱に記載されている使用方法を必ずご確認ください。

    • アンプルを割ってから空気を送るタイプ
    • 空気を送った後にアンプルを割るタイプ
    • 複数のアンプルを順番に割るタイプ

  4. 清掃・ガラス片の除去

    検知管はガラス製のため、両端を折る・アンプルを割る際に 微細なガラス片が内部に溜まることがあります。

    検知管オープナーは、背面のネジを外すことで分解して清掃可能です。 定期的に分解し、内部のガラス片や粉じんを取り除いてください。

  5. 交差汚染・クロスコンタミの防止

    検知管オープナーのアンプルを割る串のところには、(赤)(黄)(無色)の3つの色ラベルが付いています。これはいろいろな検知管を使う場合に、アンプル内の試薬が相互に混ざり合うこと(コンタミ)を防ぐための目印です。検知管を使い始めるときに、どの串を使うか計画してください。

検知管オープナーはステンレス製で検知管の開封、内部アンプルの破壊のための串などの工具です。これを使うと安全に検知管を開封できます。

検知管オープナーは分解できます。串の部分は液体化学薬品が付着するためコンタミを避けるために清掃が必要です。

手順3

ポンプで空気を送る手順

検知管は、ポンプで空気を吸引し、検知管内部を通過させることで化学反応を起こす仕組みになっています。

  1. ポンプと検知管の接続

    検知管をポンプに接続するときは識別マークとは逆側をポンプに差し込みます。

    検知管には向きがあり、 識別マーク(黄色3本線など)が付いている側が「上側」です。検知管の下側(マークのない側)をゴムパイプでポンプと接続します。

    • 上側:識別マーク
    • 下側:ポンプ接続側
  2. 吸引量(ストローク数)

    検知管はガラス製です。検知管を空けると、多少のガラス片が飛び散ります。

    ポンプは 吸引式であり、引く動作によって空気が検知管内を通過します。 検知管セットの手動ポンプは、1ストロークで約100 mL(0.1 L)の空気を吸引します。検知管の種類によって必要な吸引量が異なります:

    • 30ストローク(約3 L)- 化学剤・化学兵器(CWA)に対する検知管
    • 10ストローク(約1 L)- 有毒工業化学物質(TIC) に対する検知管

    必要なストローク数は、検知管の箱または説明書に記載されています。記載された吸引量を必ず守ってください。

  3. 検知対象に向けて吸引

    検知管の中には、結晶体の化学薬品とアンプルに入った液体の化学薬品の2タイプが入っています。アンプルを破壊して混ぜるときには検知管を軽く叩いてください。

    検知したい気体や蒸気(揮発物質)が存在する方向へ検知管の上側(識別)を向けて吸引を行います。吸引を続けることで、検知管内部の指示層に空気が通過します。

手順4

アンプルを破壊

検知管には、反応を進めるための液体試薬が入ったガラス製アンプルが内部に組み込まれています。

このアンプルを破壊して試薬を指示層(反応層)に浸み込ませることで、化学反応が正しく進行します。

まず検知管オープナー底部の穴と串(ピン)を使って、検知管内部のアンプルを破壊します。 串を軽く押し込むことで、内部のアンプルが簡単に割れます。

検知管オープナーには串が付いています。両端を折った検知管を串に差し込むことで内部の液体化学薬品が入ったアンプルを破壊できます。

アンプル破壊後は、液体を指示層に振りかけてください。検知管の側面を、指で軽くトントンと叩けば液体が指示層へ落ちていきます。指示層全体へ均一に浸み込ませてください。大きく振る必要はありません。


注意 検知管を大きく振り回さないこと。検知管を大きく振ったり、激しく振り回すと、
  • アンプル内の液体がこぼれるおそれがある
  • 反応層に均一にかからず正しい測定値が得られない可能性がある
  • ガラス片が内部で飛散する危険性がある
検知管を扱うときにはゴム手袋をしてください。検知管はガラスであり、ガラスを割ることで使用可能となります。またアンプル内の薬剤がこぼれることもあるため必ず化学剤に対応したゴム手袋をおすすめします。

検知管オープナーの使い方です。串を使う時にはまっすぐに指してください。現場に行く前に練習しておくことをおすすめします。

手順5

反応色の確認と判定について

吸引・アンプル破壊などの手順が完了したら、 検知管の指示層(反応層)の色変化を、適度に暖めながら観察します。

温度が低いと反応速度が遅くなるため、軽くカイロ等で温めると化学反応が進行します。

色変化の見え方

化学剤や有毒物質が存在した場合、 濃度に応じて指示層の色に濃淡や長さの違いが現れます。わずかな変色でも、化学剤の存在を検知できたことを意味します。

まったく変化がない場合は、検知されなかった(陰性)と判断します。 箱ラベルや付属の比較スケールに示された呈色例と見比べ、結果を読み取ってください。

検知管の役割(1次スクリーニングツールとして)

検知管は、現場で迅速に危険性を判断するための一次スクリーニング手段として非常に有効です。 しかし最終的な物質特定や定量を行うには、高度分析装置による再測定や、サンプルの採取とラボ分析、専門家による再評価が重要となります。

検知管の使い方はパッケージに記載があります。黄色3本線などで識別します。

ORITEST 検知管の特長

空気中に危険な化学物質が存在するかを、色の変化で素早く確認できる検知管です。 初動対応や立入判断など、現場での一次確認に適しています。

対応物質 神経剤・マスタード剤・催涙剤などの化学剤から、 ホスゲン、塩素、アンモニアなどの有害ガスまで幅広く対応
操作方法 管を折る → 空気を吸引 → アンプルを破砕 → 色変化を確認
全シリーズ共通のシンプルな手順
判定方法 指示層の色の変化(呈色)により、危険物質の有無をその場で判断
選択性 物質ごとに専用設計された指示層を採用し、誤反応を抑制
ポンプ対応 手動ポンプ・電動ポンプの両方に対応(規定吸引量で使用)
使用環境 屋外や低温環境でも使用可能(必要に応じて軽い加温を推奨)
用途 化学剤および有害工業化学物質の一次スクリーニング用途に最適
化学剤検知管

神経剤検知の動作原理

神経剤検知管や検知紙では、 生体内の酵素反応を模した仕組みを利用して、 神経剤の存在を判定しています。ここではその仕組みをご紹介します。

神経細胞の模式図

神経細胞は、神経伝達物質をシナプス間で放出し、 それを次の細胞が受け取ることで、 筋肉の収縮や弛緩を制御しています。

筋肉は連続して複雑な動きを行うため、 神経伝達物質は一度役割を果たすと、 速やかに分解され、 次の信号を正確に伝えられる状態に戻る必要があります。

つまり、筋肉が複雑で正確な動きを実現するためには、 シナプスで放出された神経伝達物質が、 速やかに分解されて消失することが不可欠なのです。

すぐに分解される物質

この速やかに分解される神経伝達物質が、 アセチルコリンアセチルコリン(ACh)です。

アセチルコリンアセチルコリン(ACh)は、 アセチルコリンエステラーゼアセチルコリンエステラーゼを示すアイコンという酵素によって 短時間で分解されることで、 次の神経信号が正確に伝わる仕組みになっています。

神経剤神経剤を示すアイコンは、 このアセチルコリンアセチルコリン(ACh)の分解を妨げることで、 神経刺激が過剰に持続する状態を引き起こします。 その結果、筋肉は正常な収縮や弛緩ができなくなります。

シナプス前神経細胞とシナプス後神経細胞の模式図。中央の枠で示したシナプス部位を拡大して説明するための概念図

正常な神経細胞

放出されたアセチルコリンアセチルコリン(ACh)がシナプス間隙に拡散し、アセチルコリンエステラーゼアセチルコリンエステラーゼを示すアイコンによって即座に分解されることで神経・筋肉が正常に動作する状態。

シナプス前終末から放出されたアセチルコリンがシナプス間隙に拡散し、アセチルコリンエステラーゼによって分解される様子を示した模式図
アセチルコリン(ACh) アセチルコリン(ACh)
アセチルコリンエステラーゼ(AChE) アセチルコリンエステラーゼ(AChE)
アセチルコリンが放出後すぐにアセチルコリンエステラーゼで分解され、神経刺激が正常に終了する様子 アセチルコリンアセチルコリン(ACh)は、 神経から放出された後、アセチルコリンエステラーゼアセチルコリンエステラーゼを示すアイコンによって速やかに分解される。 この迅速な分解により、筋肉の収縮は一過性に制御され、次の神経信号に正しく応答することができる。

神経剤に暴露された神経細胞

神経剤神経剤を示すアイコンによってアセチルコリンエステラーゼアセチルコリンエステラーゼを示すアイコンが阻害され、アセチルコリンアセチルコリン(ACh)が 分解されずにシナプス間隙に蓄積する様子。神経・筋肉の働きが正常に制御できなくなる。

アセチルコリンエステラーゼが阻害され、アセチルコリンが分解されずにシナプス間隙に蓄積する様子を示した模式図
アセチルコリンエステラーゼを阻害する神経剤を示すアイコン 神経剤
発色せず白色のままとなることで神経剤の存在を示す検知管の判定例

神経剤神経剤を示すアイコンは、アセチルコリンアセチルコリン(ACh)に似た物質ではありませんが、 アセチルコリンアセチルコリン(ACh)を分解する 酵素(アセチルコリンエステラーゼアセチルコリンエステラーゼを示すアイコン)の 活性部位に結合し、その働きを阻害します。

その結果、神経伝達物質であるアセチルコリンアセチルコリン(ACh)が分解されずに シナプス間隙に残り続け、神経からの刺激が止まらなくなります。 この異常な刺激の持続により、筋肉は正常な収縮や弛緩ができなくなります。

神経剤に暴露されると

神経剤(サリン、ソマン、VX など)の多くは、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を阻害する化学物質です。 AChE は神経伝達物質アセチルコリンを速やかに分解して神経刺激を終了させる重要な酵素であり、 この酵素が阻害されると神経刺激が異常に持続し、全身の筋肉が過剰に刺激され続けます。

神経剤検知の動作原理(専門的な解説)

DETEHIT や DT-11 神経剤検知管は、 この「AChE阻害」という生化学的作用に着目した検知方式を採用しています。

指示層(反応部)には固定化されたアセチルコリンエステラーゼ(AChE)が含まれており、 反応系には基質であるアセチルチオコリン(Acetylthiocholine, ATCh)と発色試薬(エルマン試薬)が用いられます。

アセチルチオコリン(ATCh)は、生体の中にあるアセチルコリン(ACh)の代わりになる類似の物質です。 AChE が正常に働くと、ATCh は分解されてチオコリン(Thiocholine)と酢酸を生じます。 生成したチオコリンがエルマン試薬と反応することで、指示層(反応部)は黄色に発色します。 つまり「黄色になる=AChEが阻害されていない(神経剤がない)=筋肉が正常に動く」ことを示します。

一方、神経剤などの AChE阻害物質が存在すると、AChE の働きが阻害されます。 その結果、ATCh が分解されずチオコリンが生成されないため、エルマン反応が進まず、黄色に発色しません。 この「発色しない(白いまま)」という状態でDETEHIT や DT-11 神経剤検知管は、「神経剤あり」と検知します。

神経剤がない場合には、色素が反応して黄色になります。神経剤がない場合:黄色に発色(陰性判定)
「発色しない(白いまま)」という状態でDETEHIT や DT-11 神経剤検知管は、「神経剤あり」と検知します。

検知管の模擬剤(偽剤) - STシリーズ

実際の化学剤検知と同じ反応原理を安全に体験できる訓練用の模擬剤(Simulant Tube / ST シリーズ)が用意されています。模擬剤は危険性のない化学物質で構成されており、 消防・警察・自衛隊・企業の防災訓練やCBRN訓練で安全に使用できるよう設計されています。

訓練用の模擬剤は型番 ST が付いており、検知管DT-11に対する模擬剤はST-11 で同じ番号になっています。

訓練用模擬剤を使用する利点

  • 安全(非毒性・非化学剤)
  • 実剤と同じ化学反応を再現
  • 操作手順(両端折り → アンプル破砕 → 吸引)をそのまま訓練可能
  • 防護服を着用した“実務的訓練”に最適
  • 検知管を体験できる

模擬剤は安全な試薬を含んでおり、模擬剤の管 - 検知管 - ポンプと 直列接続することで、検知管が実剤と同じ反応を示します。

訓練や検知管の練習に利用できます。





模擬剤は、検知管の先に接続します。模擬剤 - 検知管 - ポンプと直列に接続することで検知管に試薬を送り込みます。

模擬剤

ST-11 模擬剤(神経剤)

ST-11 模擬剤(神経剤)
識別: 黒1線、赤1線
仕様: 訓練用模擬剤

ST-11 は、神経剤検知管 DT-11 の訓練に使用する模擬剤です。

ST-121 模擬剤(血液剤・窒息剤)

ST-121 模擬剤(血液剤・窒息剤)
識別: 黒1丸、緑1線
仕様: 訓練用模擬剤

ST-121 は、血液剤・窒息剤検知管 DT-12(CG 系)の訓練に使用する模擬剤です。

ST-122 模擬剤(血液剤・窒息剤)

ST-122 模擬剤(血液剤・窒息剤)
識別: 黒2丸、緑1線
仕様: 訓練用模擬剤

ST-122 は、血液剤・窒息剤検知管 DT-12(CK)の訓練に使用する模擬剤です。

ST-123 模擬剤(血液剤・窒息剤)

ST-123 模擬剤(血液剤・窒息剤)
識別: 黒3丸、緑1線
仕様: 訓練用模擬剤

ST-123 は、血液剤・窒息剤検知管 DT-12(AC)の訓練に使用する模擬剤です。

ST-14 模擬剤(ヒ素系化学剤)

ST-14 模擬剤(ヒ素系化学剤)
識別: 黒1線、黄1線、黄1丸
仕様: 訓練用模擬剤

ST-14 は、ヒ素系化学剤検知管 DT-14.1(ルイサイト)の訓練に使用する模擬剤です。

ST-15 模擬剤(びらん剤)

ST-15 模擬剤(びらん剤)
識別: 黒1線、黄2線
仕様: 訓練用模擬剤

ST-15 は、びらん剤検知管 DT-15(硫黄マスタード)の訓練に使用する模擬剤です。

模擬剤を使用した神経剤検知管のトレーニング手順

サリン(GB)、ソマン(GD)、VX を検知できる DT11検知管を例に、模擬剤と組み合わせたCBRN初動対応向けの安全なトレーニング手順です。

  1. 検知管 DT-11 の識別マーク(赤3本線)を確認します。
    DT11は神経剤を検知する検知管です。識別マークは赤3本線です。
  2. 模擬剤 ST-11の識別マーク(黒1本、赤1本線)を確認します。
    ST11は、DT11用の模擬剤です。管の中に安全な試薬が入っています。
  3. 検知管(DT-11)と模擬剤(ST-11)の両端を折る。オープナーで両端のガラス封止部を折り、両端を開封して空気の通り道を作ります。
    検知管オープナーで両端のガラスを折って開封します。
  4. 検知管 DT-11 の白層側の内部アンプルを破砕する(酵素活性化)。 指示層(白層側)にある第1アンプルを割り検知管を軽く指で叩いて薬液を指示層(白層側)の側へ浸透させます。これにより酵素が活性化します。
    串をつかって内部のアンプル(ガラスの小容器)を破壊して液体の化学剤試薬をガラス管の中で開封します。
  5. 模擬剤 ST-11の内部アンプルを破砕する。薬液を反応層側へ浸透させます。


    串をつかって内部のアンプル(ガラスの小容器)を破壊して液体の化学剤試薬をガラス管の中で開封します。
  6. 手動ポンプを用意して、(ポンプ - 検知管DT11 - 模擬剤ST11)の順に直列接続します。最初に検知管 DT-11 を、その識別マーク(赤3本線) とは逆側をポンプ側に接続します。次に模擬剤の識別マーク(黒1本、赤1本線)とは逆側を、検知管DT11につなぎます。接続には連結用のゴムチューブを使用します。
    ポンプには、模擬剤ST11, 検知管DT11、ポンプの順で直列接続します。
  7. ポンプで 1〜5 回吸引する。模擬剤は確実に反応する薬剤であるため、少ないストロークで十分反応します。模擬剤のガスが白層(活性化酵素層)を通過します。
  8. ここからは検知管 DT11 の使い方に従い、2 分待機してから比較層(黄色側)のアンプルを破砕する。アンプル破砕後、 薬液を2つの層(指示層、比較層)に均一に行き渡らせます
    アンプル内の液体の化学薬品は、指で軽くたたきなら指示層(固体の化学薬品)に落とし込みます。
  9. 指で軽くトントンと叩いてください。アンプルの薬剤を両方の層に均等に行き渡らせます。
    総合神経剤・検知管 DT11 の判定結果の見方
  10. さらに 2 分待機し、最終的な色変化を確認する
  11. 神経剤(模擬剤)の判定(判定 0.05 mg/cm3)

    • 指示層が白いまま → 神経剤あり(酵素阻害が起きて色素が破壊された)
    • 指示層が黄色に変化 → 神経剤なし/感度以下


    ST11は、DT11用の模擬剤です。管の中に安全な試薬が入っています。

模擬剤の使用回数 模擬剤は一般に 5 分以内であれば 計 2 本の検知管で連続使用可能です。
注意事項
  • 模擬剤は安全ですが、皮膚・目に触れないよう注意してください。
  • 検知管はガラス製のため、破片に注意し、オープナーを定期清掃してください。
  • 気温 10℃以下では反応が遅くなるため、吸引前後で検知管をカイロ等で軽く温めると反応が安定します。

製品の比較

化学剤検知器の比較は、単純に性能値を並べただけでは判断できません。 装置の優劣は、運用目的や使用環境によって変わるためであり、状況によっては複数の検知手段を併用することが有効となる場合もあります。

以下の比較表は、代表的な検知装置について、いくつかの評価項目を整理したものです。 どの装置が「良い・悪い」という結論を示すものではなく、使用条件に応じた選定を検討するための参考資料としてご覧ください。

想定される使用条件には、固定設置、車載搭載、偵察用途、個人装備としての携行、長期連続使用、単回使用など、さまざまな運用形態があります。

なお、神経剤の検出感度に限って比較した場合、DETEHIT は最も高感度な検知手段の一つと位置付けられます。



パラメータ IMS CALID-3 CBRN検知管 DETEHIT コメント
製品リンク IMS検知器 GTD-SII 検知紙 CALID-3 CBRN検知管 神経剤検知紙 DETEHIT
神経剤の検知 CALID-3 と IMS は、異なるレベルで識別可能。
ノビチョク Novichok/Новичо́к(A-series)対応 検知管および神経剤検知紙 DETEHIT は、ノビチョクを検知可能ですが、他の神経剤と区別できません。
検出感度(Sensitivity) 3 2 1 1 CALID-3 の感度は、検出可能な最小液滴量として比較。
識別能力(Selectivity) 2 2 1 なし 神経剤検知紙 DETEHIT は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤のみを対象として設計されており、神経剤同士を区別できない。
誤警報(False Alarm) 3 2 1 1
応答時間(Response Time) 1 2 3 3
重量(Weight) 4 1 1 1
個人装備として携行可能か 4 1 1 1
訓練必要量(Training Needed) 4 1 1 1 各製品はパッケージの説明を読むだけで使用可能。
費用 4 1 1 1
カタログ IMS化学剤検知器のカタログ 検知紙 CALID-3のカタログ Oritestの検知管のカタログ 検知紙 DETEHITのカタログ

比較:(可 = 可能 / 1 = 良い / 4 = 劣る、ただし「劣る」は相対比較であり、装置が悪いという意味ではありません)

OPCW の枠組みで紹介された CALID-3

この動画では、化学兵器禁止機関(OPCW)の関連プログラムにおいて 紹介された CALID-3 のデモンストレーションをご覧いただけます。

CWA検知紙

Oritest 社について

Oritest は、CBRN対策向けの化学剤検知管・検知紙を専門とするメーカーです。 電源を必要としないシンプルな検知手法を用い、世界各国の現場で採用されています。

Oritest の強み

  • 実薬による検証
    神経剤・びらん剤などの実薬を用いた試験に基づく検知性能。
  • CBRN現場での実績
    消防・警察・軍・民間防災分野での長年の使用実績。
  • シンプルで確実な検知方式
    色の変化による直感的な判定で、訓練を受けていない現場でも使用可能。

製品ラインナップ

Oritest は、神経剤・びらん剤・血液剤などの化学剤に対応した 各種化学剤検知管および検知紙を提供しています。

  • 神経剤検知紙(DETEHIT)
  • 神経剤・化学剤検知管(DTシリーズ)
  • CBRN対策向けアクセサリ

信頼性と国際的な評価

Oritest の製品は、OPCW 関連試験を含む第三者評価や 実薬試験の結果に基づいて開発されています。 これにより、実環境下での信頼性を重視した設計がなされています。

Oritest 社のCWA,TIC分析機器
カタログ CBRN 化学剤検知管のカタログ・ダウンロード

CBRN化学剤検知管

  • 製品の分類

    CBRN対応 化学剤検知管
  • 概要

    化学反応または生化学反応による呈色反応を利用し、空気中の対象物質の有無を目視で迅速に判定する一次検知用の化学剤検知器です。
  • 構造(箇条書き)

    • ガラス製検知管
    • 指示層(呈色反応により色変化)
    • 比較層(判定補助)
    • 試薬アンプル(破砕して指示層へ浸透)
    • 検知管により、指示層が複数層(2〜3層)構成の場合あり
  • 検知対象(分類)

    • 神経剤(G系・V系)
    • びらん剤(マスタード、ルイサイト等)
    • 血液剤・窒息剤
    • 無力化剤
    • 催涙剤
    • 有害工業化学物質(TIC)
  • DT10 神経剤

    DT10 神経剤 感度 0.5 mg/m3 G剤(GA, GB, GD, GF, GP, GV, ノビチョク)感度 0.5 mg/m3、G剤(GA, GB, GD, GF, GP, GV,ノビチョク)
  • DT11 神経剤

    DT11 神経剤 感度 0.05 mg/m3 G剤, GV剤, V剤, ノビチョク, GA, GB, GD, GF, GP感度 0.5 mg/m3、G剤(GA, GB, GD, GF, GP, GV)
  • DT12 血液剤・窒息剤

    DT12 血液剤 窒息剤 感度 5 mg/m3感度 5 mg/m3、ホスゲン・ジホスゲン、塩化シアン、シアン化水素
  • DT13 びらん剤(マスタード)

    DT13 マスタード 感度 1 mg/m3感度 1 mg/m3、硫黄マスタード(H, HD)、ナイトロジェンマスタード(HN)
  • DT14.1 びらん剤(ルイサイト)

    DT14.1 ルイサイト 感度 1 mg/m3感度 1 mg/m3、ルイサイト(L)
  • DT15 びらん剤(硫黄マスタード)

    DT15 硫黄マスタード 感度 3 mg/m3感度 3 mg/m3、硫黄マスタード(H, HD)
  • DT16 びらん剤(ナイトロジェンマスタード)

    DT16 ナイトロジェンマスタード 感度 1 mg/m3感度 1 mg/m3(HN-3)、HN-1, HN-2, HN-3
  • DT20 無力化剤

    DT20 無力化剤 BZ 感度 1 mg/m3感度 1 mg/m3、BZ(キヌクリジルベンザレート)
  • DT21 催涙剤(CN)

    DT21 CN 感度 0.5 mg/m3感度 0.5 mg/m3、クロロアセトフェノン(CN)
  • DT22 催涙剤(CS)

    DT22 CS 感度 1 mg/m3感度 1 mg/m3、クロロベンジリデンマロノニトリル(CS)
  • DT27 催涙剤(CR)

    DT27 CR 感度 0.1 mg/m3感度 0.1 mg/m3、ジベンゾオキサゼピン(CR)
  • DT001 ホスゲン

    DT001 ホスゲン 感度 0.5 mg/m3感度 0.5 mg/m3、ホスゲン(COCl2)、ジホスゲン(C2Cl4O2
  • DT002 シアン系

    DT002 シアン系 感度 3 mg/m3感度 3 mg/m3、シアン化水素(HCN)、塩化シアン(CK)
  • DT003 塩素

    DT003 塩素 感度 3 mg/m3感度 3 mg/m3、塩素(Cl2
  • DT004 酸化窒素類

    DT004 NOx 感度 2 mg/m3感度 2 mg/m3、酸化窒素類(NOx)
  • DT005 二酸化硫黄

    DT005 SO2 感度 5 mg/m3感度 5 mg/m3、二酸化硫黄(SO2
  • DT006 硫化水素

    DT006 H2S 感度 5 mg/m3感度 5 mg/m3、硫化水素(H2S)
  • DT007 二硫化炭素

    DT007 CS2 感度 20 mg/m3感度 20 mg/m3、二硫化炭素(CS2
  • DT008 アンモニア

    DT008 NH3 感度 50 mg/m3感度 50 mg/m3、アンモニア(NH3
  • DT009 塩化水素

    DT009 HCl 感度 10 mg/m3感度 10 mg/m3、塩化水素(HCl)
  • DT010 ホルムアルデヒド

    DT010 ホルムアルデヒド 感度 0.5 mg/m3感度 0.5 mg/m3、ホルムアルデヒド(HCHO)
  • DT011 一酸化炭素

    DT011 一酸化炭素 感度 30 mg/m3感度 30 mg/m3、一酸化炭素(CO)
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