鉛容器による測定時間の比較
飲料水 10 Bq/kg など低い放射線量を測定するには、50mm 厚の鉛容器がおすすめです。50mm厚の鉛容器は、20mm厚の鉛容器と比較し測定時間が約 1/3 になります。
表に記載された室内線量の目安よりも高くなると、測定時間が長くなります。
鉛による遮蔽厚 | 20mm | 50mm |
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写真 | ||
室内線量の目安 より高い線量の場所でも使うことはできますが、少しずつ測定時間が長くなります。 |
0.15 μSv/h まで | 0.90 μSv/h まで |
重さ |
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達成できる最小の測定下限値 | 4 Bq/kg | 4 Bq/kg |
基準値 100 Bq/kg での判定時間 | 約 60~20 分 | 約 60~20 分 |
基準値 50 Bq/kg での判定時間 | 約 3~1 時間 | 約 2~1 時間 |
基準値 10 Bq/kg での判定時間 | 約 10~3 時間 | 約 3~1 時間 |
測定時間と食材の放射線量
測定が完了するまでの時間は、食材に含まれている放射線量が高いほど早くなります。
一方で、食材に放射線がほとんど入っていないようなケース( 例: セシウム 4 Bq/kg 未満 ) といった場合では、測定器に放射線が、ほとんど入ってこない事になります。この場合には、測定器は、わずかな放射線量を正確に測定するために、放射線が出てくるまで、時間をかけて待つ必要がでてきます。そのため、放射線量が低い食材の場合では、測定時間がカタログ等に記載された数字以上に長くなる場合があります。
こういったケースでは、20mm容器、50mm容器のどちらの場合でも、10~20時間以上の長い測定時間になる場合があります。
基準値と測定時間
食材の放射線量が十分に大きい場合でも、食品基準値と、食品自体の放射線量が近い場合には、基準値よりも上なのか、下なのか、見極めが微妙な場合には、測定時間が長くなる場合があります。
具体的には、たとえば、食品の基準値を10 Bq/kg としておいた場合に、野菜を測定した結果、測定値が 5 Bq/kg ± 8 Bq/kg という形の誤差範囲の場合には、誤差の上限値は、5+8=13 Bq/kg になります。この場合、基準値 10 Bq/kg と非常に近い状態にあります。時間をかけた測定をすれば、もしかすると、基準値 10 Bq/kg を下回るかもしれません。逆に上回るかもしれません。こういった微妙な場合にも、測定時間が急に長くなる場合があります。
実測定時間テスト
鉛容器の違いで、どの程度、測定時間が実際に異なるのか、テストしてみました。
今回、何も測定物を入れずに、空の状態でも測定しています。空の状態での測定は、放射線を出す物が何もない状態ですから、測定器にとっては、測定する物がないということで、測定に時間がかかるとても長くなる厳しい条件設定になっています。
PM1406に設定した判定基準値 | 測定項目 | 鉛容器のサイズ | 測定時間 | セシウム測定結果 | 測定誤差 |
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10 Bq/kg | 何も入れずに空で測定。 | 50 mm厚 | 3時間31分 | 1 Bq/kg | ±4 Bq/kg |
20 mm厚 | 10時間08分 | 5 Bq/kg | ±4 Bq/kg | ||
10 Bq/kg | 東京都飲料水 | 50 mm厚 | 3時間25分 | 1 Bq/kg | ±4 Bq/kg |
20 mm厚 | 9時間57分 | 1 Bq/kg | ±4 Bq/kg | ||
10 Bq/kg | 59.89 Bq/kg の線源 | 50 mm厚 | 3時間25分 | 60 Bq/kg | ±13 Bq/kg |
20 mm厚 | 10時間00分 | 61 Bq/kg | ±13 Bq/kg |
利用した 59.89 Bq/kg の放射線源は、日本アイソトープ協会が制作した PM1406 のマリネリ容器サイズに特注した放射線源です。
実際の測定時間は、食材に含まれている放射線の量によって、より早くなる場合もありますし、判定値と近い場合には、より長くなる場合もあります。