本製品は空気、表面、粉体などの環境由来サンプルを対象とした生物剤検出器です。 ヒトまたは動物由来の血液・体液・組織サンプルを対象とした検査や分析には使用できません。 医療診断、獣医学的検査、臨床用途を目的とした装置ではありません。
米軍プログラムで実証された次世代の生物剤同定プラットフォーム
Franklinは、米軍および米国CBRN対策研究機関での評価と運用検証を通じて確立された現場PCR装置です。
ラボ品質の遺伝子同定を専門知識なしでも実行できるよう設計されており、 現場で迅速に科学的確認を行うことができます。PCR検査は生物剤の多層検知体系における最終同定手段として位置付けられています。
前処理一体型PCR同定
Franklin ISP(Integrated Sample Prep:前処理一体型)は、DNA/RNAの抽出・精製・増幅を装置内で自動化します。
サンプルをカートリッジに滴下して開始するだけの操作で検査を実行できます。
生物剤14種を遺伝子同定
主要14種類の生物剤を対象に、25の遺伝子ターゲットを同時解析して遺伝子レベルで同定します。
2種類の内部コントロール検査(検査成立確認)で信頼性を確保します。
小型・バッテリー駆動
小型・軽量・バッテリー駆動設計により、電源確保が困難な環境でも運用可能です。
偵察・初動対応の最前線でも、約60分で遺伝子同定結果を取得できます。
常温保管・保存期間1年
生物剤同定パネルは常温保管が可能です。保存期間は約1年です。
訓練用パネルや定期点検用パネル(自己検査)にも対応します。
3色蛍光・最大27ターゲット
3つの蛍光チャネルにより、1検体から最大27の遺伝子ターゲットを同時解析できます。
リアルタイムPCRおよび等温増幅法に対応しています。
定量・定性両対応
定性判定および定量解析の両方に対応しています。
サンプル投入から結果取得まで約60分で結果を取得できます。
内蔵バッテリー
約1.9kgの小型軽量設計で現場携行に適しています。
内蔵充電池により停電時でも検査を継続できます。
ISPカートリッジ方式
単回使用・常温保存可能なISPカートリッジに抽出・精製試薬と凍結乾燥アッセイを内蔵しています。
サンプルを滴下するだけで全自動検査が開始されます。
現場で簡単に生物剤を同定
Franklin ISP は、前処理が自動化された画期的な PCR 検査器です。
人が行う操作は、現場から検査サンプルを回収して、生物剤検査パネルをセットするだけ。
1 検査サンプル200 µLを滴下
2 本体にセット、蓋を閉める
3 スマートフォンで検査スタート
手順はスマホで案内
Franklinの操作は、スマホから行います。アプリが検査手順を絵付きで案内してくれます。
1.サンプル 200µL を入れる
2.パネルのふたを閉める
3.本体にセットする
4.検査スタート、待つだけ
検査結果もスマホに表示
Franklinの検査結果はスマホで確認できます。パソコンへ出力もできます。
炭疽菌を検出
本装置は Bacillus anthracis (炭疽菌)を遺伝子レベルで検出。
1つの病原体に対して複数の遺伝子ターゲットを同時解析することで、偽陽性・偽陰性のリスクを低減、確度の高い判定が可能です。
抗原抗体反応による推定検出とは異なり、標的遺伝子そのものを直接確認するため、最終同定に相当する高精度な結果を現場で得ることが可能です。生物剤は未検出
対象パネルに含まれる生物剤は検出されませんでした。
コントロール検査(IPC および MS2)が陽性であることから、試薬、遺伝子の増幅反応、装置動作はすべて正常であり、 この結果が偽陰性ではないことが確認されています。
本結果は有効な陰性判定です。
コントロール警告
コントロール検査(IPC および MS2)が陰性であることから、検査結果は無効となります。
コントロール検査では、パネルに組み込まれた既知の遺伝子が増幅されているか確認し、今回のPCR反応が正常に行われたかを判断します。
コントロール警告の場合、PCR阻害物質の混入・試薬劣化・反応条件の異常・サンプル量不足などの原因が考えられます。この場合、陽性・陰性いずれの判定も信頼できないため、再抽出または再検査が必要です。
遺伝子の増幅曲線
リアルタイムPCRでは、増幅される遺伝子に蛍光マーカーを付加し、蛍光強度の増幅過程をリアルタイムで可視化します。遺伝子量の増加に伴い蛍光強度が上昇します。
上段は蛍光強度(RFU)の増幅曲線、下段はしきい値を超えたサイクル数を示すCq値です。 Cq値が低いほど、元の検査サンプル中の標的遺伝子量が多いことを示します。
25の遺伝子ターゲット同定により、14種類の生物剤を検出
炭疽菌
芽胞を形成する細菌。環境中で長期間生存可能で、吸入・皮膚・消化管感染を引き起こします。
ペスト菌
腺ペストや肺ペストの原因菌。歴史的に大流行を起こした感染症の病原体です。
ボツリヌス毒素 A,B
芽胞を形成する細菌。環境中で長期間生存可能で、吸入・皮膚・消化管感染を引き起こします。
ブルセラ属菌
マルタ熱の原因菌。家畜由来感染症として知られます。
鼻疽菌
主にウマなどに感染する細菌。ヒトにも感染することがあります。
類鼻疽菌
土壌中に存在する細菌。熱帯地域で感染症を引き起こします。
コクシエラ菌
Q熱の原因菌。非常に少量でも感染することが知られています。
野兎病菌
野生動物由来の感染症を引き起こす細菌。高熱を発します。
オルソポックスウイルス属
天然痘ウイルスを含むウイルス群。サル痘などもこのグループに属します。
天然痘ウイルス
歴史的に根絶された感染症の原因ウイルス。
ベネズエラ馬脳炎ウイルス
蚊媒介性のウイルスで、神経症状を伴う感染症を引き起こします。
ブドウ球菌エンテロトキシン
細菌が産生する毒素遺伝子。食中毒や毒素曝露に関連します。
リシン毒素
植物由来毒素の遺伝子マーカー。タンパク合成を阻害します。
2名体制で、安全かつ確実に運用
Franklinは単独運用を前提とした装置ではなく、役割分担による2名体制運用が一般的です。
役割分担により、PPE(個人防護服)着用下での複雑な操作を最小限に抑え、現場での安全な高感度PCR同定を実現します。
1 検査サンプル採取
PPEを着用した隊員が現場で検査サンプルを採取し、密閉容器に封入します。
2 受け渡し
採取した検査サンプルを操作担当に引き渡します。場合によっては除染担当者が間に入り3名態勢となることもあります。
3 検査実行
採取した検査サンプルを検査パネルに投入し、Franklinに装填します。グローブボックス内での操作もおすすめします。
米軍で開発された次世代の生物剤同定プラットフォーム
Franklinは、以下の米国の国土安全保障・国防分野における複数の公式プログラムを通じて、CBRN・テロ対策分野における実運用を想定した評価・開発が行われてきた次世代の生物剤同定プラットフォームです。
DHS 米国国土安全保障省Sense Netプログラム
高密度収容施設での生物学的脅威検知を目的とした米国国土安全保障省のプログラム。都市インフラを想定した化学兵器・生物兵器に用いられる薬剤(化学剤、生物剤)に対する防衛試験に参画し、実現場環境での検知・同定性能が検証されてきました。
米国防総省 JPEO-CBRNDJBTDSプログラム
極低濃度の生物剤を採取・検出・同定する JBTDS(Joint Biological Tactical Detection System)、および 特殊部隊向けに携帯型PCRで現場同定を行う JHBI(Joint Handheld Bio-Agent Identifier) といった構想の中で、Franklinの技術が評価・活用されています。
DTRA(米国国防脅威削減局)生物剤同定デバイスの開発
短時間で同定可能な次世代生物剤同定パネル(BW Panel 3.0)の開発を推進。同時に、遺伝子を持たない毒素などに対して抗原抗体反応(免疫測定)とPCR(遺伝子増幅) を組み合わせた次世代の毒素検出技術の研究を通じ、生物剤だけでなく毒素まで含めた分子レベル同定の実現を追求しています。
PCR検査とは?
DNAは、2本の鎖がらせん状に絡み合った「二重らせん構造」をしています。この2本の鎖は、熱を加えると自然にほどけます。PCRはこの性質を利用します。
1 高温で遺伝子をほどく
約95℃まで温度を上げると、DNAの二重らせんは2本の鎖に分かれます。これを「変性」といいます。
2 温度を下げて目印をつける
温度を約55〜60℃に下げて、プライマーと呼ばれる短いDNA断片を前後に、中央に蛍光プローブを結合します。 プライマーとプローブは、特定の遺伝子配列にのみ結合するよう設計されています。この段階では、プローブの蛍光色素は光りません。
3 ちょうどよい温度で伸ばす
約72℃にすると、ポリメラーゼ(DNA合成酵素)がプライマーの位置からDNA対を伸張(複製)していきます。 プローブの位置まで来ると、プローブを破壊してDNAの複製を続けます。この過程で、蛍光色素が分離・放出されることで光ります。
温度の上げ下げで DNA を開く
95度、60度、72度の温度変化を1サイクルと呼びます。サイクル1回でDNAが2倍、2回で4倍、3回で8倍とDNAは指数関数的(2n)に増えていきます。 わずか1個の病原菌の遺伝子でも、40サイクルを行えば1兆個以上(240)に増えます。この仕組みにより、PCR検査は超高感度で検出できます。
標的遺伝子が正確に存在しないと蛍光は発生しない
PCR検査では、蛍光色素はプローブに取り付けられ、消光基と対になった状態で組み込まれています。この状態では、蛍光色素は消光基によって抑えられており、光を出しません。
標的遺伝子と、プライマーとプローブの遺伝子の特徴が完全に一致してDNA伸長が起こったときだけ、ポリメラーゼによりプローブが破壊され、蛍光色素が分離・放出されます。放出された蛍光色素に光を当てると、蛍光を発します。
つまり検出対象のウイルス等に特異的な遺伝子(プライマーとプローブ)が、検出サンプルと混ざったときだけ蛍光色素が放出される仕組みとなっており、蛍光が発生した場合は標的遺伝子が存在すると判断できます。 この原理により、高い特異性・低い誤検出率・遺伝子レベルでの確証同定が可能になります。
蛍光を測定して遺伝子の量を見る
放出された蛍光色素は、装置内部のLED光源によって励起状態(光を出す状態)にされます。 遺伝子が増えるほど、破壊されるプローブの数も増えるため、蛍光強度はサイクル数とともに上昇していきます。つまり、光の強さ = 増幅された遺伝子量を意味します。
増幅曲線と Cq値
サイクルごとの蛍光強度をグラフ化したものが増幅曲線です。
最初はほとんど光りませんが、ある時点で急激に蛍光が立ち上がります。このしきい値を超えたサイクル数をCq値(Quantification Cycle)と呼びます。
- Cq値が低い → 増幅開始前の検出サンプル内の標的遺伝子量が多い
- Cq値が高い → 増幅開始前の検出サンプル内の標的遺伝子量が少ない
40サイクル以内に立ち上がるかどうかで、陽性・陰性の判定が行われます。
PCR検査における偽陽性の可能性
PCRは高い特異性(特定の遺伝子を同定できる性能)と高感度を持ちますが、100%正しい結果ではありません。偽陽性とは、本来、検出されないサンプルから対象となるウイルス等が検出されることです。
汚染
PCRは超高感度であるため、1分子レベルでも増幅されます。よって、手袋やピペットが汚染されていた場合や作業場所に以前の検査サンプルの残存があった場合、微量であっても増幅されて偽陽性を生じます。
非特異的増幅
本来は標的遺伝子にしか結合しないプライマーが、似た遺伝子配列に結合して増幅する可能性があります。プローブが完全に一致していないと蛍光は発生しにくいため、発生確率は低いですが、完全に0にはできません。
近縁の菌種
非常に近縁の菌種で遺伝子の一部が似ている場合(共通領域を持つ場合)、反応することがあります。偽陽性を減らすため、複数遺伝子をターゲットにして確認する設計となっています。
PCR検査における偽陰性の可能性
偽陰性とは、本来、対象となるウイルス等がサンプルに入っているにもかかわらず、陽性を示さないことです。
PCR阻害物質
土壌・血液・粉体に含まれる金属イオン・有機物・タンパク質などがサンプルに含まれると、ポリメラーゼによるDNA伸長が阻害され、陽性になりません。 Franklinでは、これを検知するために検査パネルでポリメラーゼのDNA伸長が成功したかどうかを判定しています。検査パネルにはあらかじめ分かっている遺伝子2個が含まれています。
サンプル量不足
採取量が少ないと増幅効率が悪くなり、検出限界以下になることがあります。決められたサンプル量を適切に検査パネルに入れることが重要となります。
遺伝子変異
標的遺伝子に変異があるとプライマーやプローブが結合せず、遺伝子が増幅されないことがあります。 これを避けるために、Franklinでは1つの生物剤に対して複数の遺伝子ターゲット(プローブ)で検査を行うことで、遺伝子変異があった場合でも検出できる設計となっています。
Franklin ISP の偽陰性対策
-
Franklinでは、1つのウイルス等に対して複数の遺伝子をターゲットとして検査を行い、遺伝子変異があった場合でも検出できる設計となっています。
-
また、検査パネル内に既知の遺伝子(IPC, MS2)を入れておき、ポリメラーゼのDNA伸長が成功したかどうかを判定しています。 これらの仕組みにより測定結果の信頼性を担保しています。
Franklin® ISP 構成
Franklin® ISP 本体
- 超小型・完全自動・リアルタイムPCRプラットフォーム
- 最大14種類の生物剤を同時に同定解析
- 25遺伝子ターゲット + 2コントロール
- 現場でラボレベルの確定診断
- 前処理自動化、専門知識不要
- 完全自動化
生物剤同定パネル
- 実戦用生物剤同定パネル
- 14種の重要生物剤を識別
- マルチプレックスRT-PCR
- 単回使用カートリッジ方式
- 凍結乾燥試薬
- 常温保管可能
- 現場運用前提設計
- 米国防総省 JPEO-CBRND により資金支援
生物剤模擬剤パネル
- 模擬剤訓練用パネル
- 3種類の生物剤シミュラント検出
- 実薬剤を使わない安全な訓練
- 実戦カートリッジと同構造
- 現場訓練に最適
- リアルな手順演習
操作訓練パネル
- 操作訓練専用カートリッジ
- 試薬を含まない模擬構造
- 実カートリッジと同じ操作性
- コストを抑えてトレーニングが可能
点検パネル
- 装置性能確認キット
- 定期点検用
- Pass / Fail 判定
- 機器精度確認
- 即時検証可能
Franklinという名前に込められた意味
Rosalind Franklin, Wikipedia archive
PCR装置「Franklin」という名前は、誰でもどこでも検査できる技術を実現したいという開発思想と遺伝子科学の歴史に由来します。 Biomeme社は人・動物・環境の健康を向上させるというワンヘルス(One Health)の理念のもと、専門家だけでなく現場の誰もが迅速に診断できる分子検査技術の実現を目標としてきました。 Franklinは、その思想を体現した装置です。
初代モデルは感染症パンデミックの現場で実用化され、次世代モデルFranklin ISPでは前処理まで自動化され、粉末など多様な検体を扱える現場PCRプラットフォームへと進化しました。 この装置にFranklinと名付けた理由は、DNA研究の歴史に大きな足跡を残しながら長く正当に評価されてこなかった科学者、ロザリンド・フランクリン(Rosalind Franklin)への敬意にあります。 彼女はX線結晶構造解析によってDNA二重らせん構造の解明に決定的なデータを提供しましたが、その功績は長く過小評価されてきました。 2023年になってようやく、DNA構造発見における対等な貢献者として広く認識されるようになりました。
また、この名前はBiomeme社の本拠地フィラデルフィアの歴史にも由来します。 フィラデルフィアはアメリカ合衆国誕生の地であり、科学者・発明家ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)が活動した地でもあります。 彼は人々の暮らしをよりよくするための科学の活用法を探求した研究者であり、図書館や消防組織など社会制度の創設者でもありました。
遺伝子科学の基礎を築いたロザリンド・フランクリンと、科学を社会に役立てたベンジャミン・フランクリン。 Franklinという名称は、この二人の科学者の精神―科学の探究と社会への還元―を受け継ぐものです。 現場で誰もが遺伝子検査を行える「PCRの民主化」という開発思想を象徴するにふさわしい名前です。
多層防御、生物脅威対策の基本思想
生物脅威の検知は、化学物質や放射線とは異なります。 空気中には自然由来の微生物、花粉などが常に存在するため、多く検出されたという事実だけでは危険かどうかを判断できません。
このためCBRN分野では、役割の異なる複数の検出手段を段階的に組み合わせる多層防御が採用されています。
検知は次の3段階で進みます。
- 広域監視・異常察知:空気中粒子の変化を連続監視し、異常の兆候を捉える
- 確証同定:生物剤の可能性を迅速に評価し、誤警報リスクを低減する
- 確証同定:遺伝子レベルで存在を科学的に証明する
異常検知に優れた手段と、確証同定に優れた手段を組み合わせることで、初めて実用的な防御が成立します。
多層防御は誤警報を避けるため
生物剤検知で最も避けるべきものは誤警報です。 誤警報は避難や施設停止など社会的混乱を引き起こし、実際の攻撃に匹敵する影響を生む可能性があります。
そのため、生物脅威対策は単一装置ではなく、異常察知 - 評価 - 確証の段階的な判断体系として構築されます。
生物剤検知を構成する3つの検出方式
多層防御は、検出原理の異なる技術の組み合わせで実現されます。
蛍光分析(異常検知)
紫外レーザーで粒子の蛍光特性を測定し、生物由来粒子の増加を検知する広域監視技術。 生物らしい粒子の増加は分かるが、種類は特定できない。生物らしい粒子の増加を即座に検知。
Tac-7SD - 軍用の生物由来の粒子を検出
抗体抗原反応(評価・選別)
抗体と抗原の特異的結合を利用し、生物剤候補を迅速に絞り込む現場スクリーニング技術。迅速だが推定段階であり、確証同定にはならない。
QuikTest HHA - 生物剤を素早く検査
LFA(ラテラルフローアッセイ)等
PCR(確証同定)
病原体固有の遺伝子配列を直接検出し、存在を分子レベルで証明する最終同定技術。 科学的・法的証拠となる唯一の確証手段。
異常検知のための技術 ― UV蛍光分析の原理
空気中には花粉、ほこり、排気粒子、微生物など、さまざまな粒子が浮遊しています。 その中から生物由来の粒子の増加を捉えるために使われるのが、UV蛍光分析です。
多くの微生物や生物粒子には、タンパク質や補酵素などの生体分子が含まれています。 これらは紫外線が当たると特有の光(蛍光)を発します。 蛍光分析装置は粒子に紫外レーザーを照射し、その微弱な光を検出することで 生物らしい粒子かどうかを判定します。
粒子を1個ずつ測定
空気をポンプで吸い込み、粒子をレーザー光の中へ1個ずつ通過させます。 通過時に散乱光(粒径)と蛍光(生物性)を同時に測定します。 これにより粒子サイズと生物らしさを粒子単位で評価できます。
生物粒子が光る理由
生物粒子にはトリプトファンやNADHなどの生体分子が含まれています。 これらは紫外線で特定波長の蛍光を発します。 砂塵や無機粒子はほとんど蛍光しないため、 生物由来粒子の増加をリアルタイム監視できます。
識別や同定はできない
蛍光分析は生物粒子の急増を瞬時に捉える異常察知技術です。 しかし花粉・カビ・細菌・生物剤の区別はできません。 そのため誤警報も起こり得ます。 生物剤の特定には次段階の分析が必要です。
脅威の評価・選別の技術 ― 抗体抗原反応(LFA)
生物粒子の異常が検知された後、その粒子が危険な生物剤かどうかを 迅速に評価するために使われるのが、抗体抗原反応を利用した免疫検出です。 新型コロナ抗原検査や妊娠検査薬と同じ原理で、 特定の生物由来成分が存在すると試験紙に線として現れます。
特定の生物にだけ反応
抗体は特定のタンパク質や毒素(抗原)にだけ結合します。 これは鍵と鍵穴のような関係です。 検体中に対象抗原が存在すると、試験紙上の抗体と結合し、 目に見える線として検出されます。 LFAはこの仕組みで特定生物剤の存在可能性を判定します。
脅威候補を絞り込む
蛍光分析より一歩進み、 「炭疽菌の可能性」「ボツリヌス毒素の可能性」など 対象カテゴリーを評価できます。 数分〜十数分で結果が得られるため、 現場での迅速な脅威判断に適しています。
確証同定ではない
抗体検出はタンパク質構造に基づく判定であり、 生物そのものを直接同定しているわけではありません。 変異や交差反応により誤判定の可能性もあります。 そのためLFAは「可能性評価」の段階であり、 最終確認には遺伝子解析(PCR)が必要です。
1 サンプルを滴下
2 毛細管現象によってサンプルが移動
3 抗原と抗体が結合すると発色
確証同定 ― 行動判断を支える科学的証拠
UV蛍光分析は生物粒子の増加を捉える技術、 LFA(抗体抗原反応)は特定カテゴリーの可能性を示す技術です。 しかし、いずれも存在の確証ではありません。
病原体が実際に存在するかを同定するには、 遺伝子配列そのものを検出するPCR検査が必要です。 PCRは標的遺伝子の一致を確認することで、 生物の存在を分子レベルで科学的に証明できます。
この確証情報は、避難・封鎖・医療対応・除染など、 社会的影響の大きい対処判断を行う際の根拠となります。 PCRは生物多層検知体系の最終段階に位置する同定技術です。
次世代 生物剤同定プラットフォーム
Franklin ISP - qPCR(リアルタイムPCR)生物剤同定装置は、米国国防総省CBRN防衛要求に基づき開発された 現場運用型PCRプラットフォームです。 主要生物剤14種・最大25の遺伝子ターゲットを同時解析し、 遺伝子レベルで同定を行います。
サンプルをカートリッジに滴下するだけで、 DNA/RNA抽出・精製・増幅が装置内で自動実行されます。 これにより従来ラボでしか行えなかったPCRを 現場で誰でも実施可能にしました。
遺伝子レベル同定
qPCRは標的遺伝子配列そのものを検出するため、 生物剤の存在を高い特異性で同定できます。
現場運用型PCR
小型バッテリー駆動により電源のない現場でも使用可能。 約1時間で同定結果を取得できます。
常温保管パネル
試薬は凍結不要で常温保管(約1年)が可能。 現場即応の検査体制を維持できます。
前処理一体型PCR
DNA/RNA抽出・精製工程を装置内に統合。 専用設備や熟練操作なしで現場PCRを実現しました。
サンプルを投入するだけで検査できます。
検証実績・レポート
Franklinは米軍や大学等の公的機関で有効性が評価されています。
米空軍系研究機関(59th Medical Wing)による Franklin PCRの評価報告
米軍研究機関による評価試験で、Franklinは遠隔・野外環境で運用可能な携帯型PCRとして有効性が確認されています。
評価報告書
米空軍系研究機関(59th Medical Wing)と国防企業(GDIT)の共同によるFranklin PCRの比較評価
米空軍研究機関評価において、Franklinはラボ用PCRと同等の検出性能がある現場PCRであると報告されています。
比較評価報告書
米陸軍化学生物センター (DEVCOM Chemical Biological Center)による Biomeme Franklinを用いたPCR検査の運用評価
米陸軍化学生物センターによる運用評価において、Franklinの操作のしやすさが高く評価されました。しかし、検査サンプルの取り扱いについて課題が残ると評価されています。
運用評価報告書
KNUST大学等の現場PCRとしての評価論文
多施設にて採取した300検体以上の検査の結果、Franklinの検査結果がラボPCRと同等精度(感度98%・特異度96%)であることを実証しています。
論文の要点本製品は空気、表面、粉体などの環境由来サンプルを対象とした生物剤検出器です。 ヒトまたは動物由来の血液・体液・組織サンプルを対象とした検査や分析には使用できません。 医療診断、獣医学的検査、臨床用途を目的とした装置ではありません。
Franklin® ISP
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製品の分類
生物剤検知器 -
概要
生物剤の存在が疑われる際に、最終同定手段として使用する現場PCR装置です。 -
対応プロトコル
PCR / RT-PCR / qPCR / 等温増幅(Isothermal) -
検出原理
リアルタイムPCR(病原体の遺伝子を増幅させて検出) -
サンプル前処理の自動化
前処理用の装置不要(前処理一体型) -
テスト互換(カートリッジ)
Biomeme ISP Cartridges(単回使用・自動運転) -
結果の形式
定性(陽性/陰性)・定量(量の評価)の両方に対応 -
測定時間
約1時間(前処理を含む) -
Time to Results(プロトコルにより変動)
約15分〜1時間(試薬・プロトコルにより変動) -
最大サンプル数(1回の測定)
1 -
最大ターゲット数(1検体あたり)
最大27ターゲット -
蛍光チャネル
3チャネル -
蛍光色素(チャネル1)
FAM / SYBR(Green) -
蛍光色素(チャネル2)
JUN / TexRedX(Amber) -
蛍光色素(チャネル3)
ATTO647N / Cy5(Red) -
検出対象
主要14種の生物剤- 炭疽菌
- ペスト菌
- ボツリヌス毒素 A,B
- ブルセラ属菌
- 鼻疽菌
- 類鼻疽菌
- コクシエラ菌
- 野兎病菌
- オルソポックスウイルス属
- 天然痘ウイルス
- ベネズエラ馬脳炎ウイルス
- ブドウ球菌エンテロトキシン
- リシン毒素
-
ユーザーインターフェース
統合モバイルアプリ(Integrated Mobile App) -
操作
スマホアプリから実行 -
通信規格
ワイヤレス(BLE)/ 有線(USB Micro / micro-USB) -
データ
生データアクセス可能 -
データ管理(クラウド)
Biomeme Cloud(中央管理)に対応 -
電源
内蔵の充電式バッテリー、AC電源(100–240V)、太陽光電池(DCコンバータ付) -
バッテリー稼働時間
最大6時間 -
必要なトレーニング
最小限 -
寸法
132 mm H x 187 mm W x 117 mm D -
重さ
1.95 kg -
ダウンロード
