飲料水、食品から材料まで
測定下限値 3 Bq/kg
日本国内における食品・飲料水に対する放射能の基準値は、セシウム134, 137 の合計に対し、食品は最大100 Bq/kg、飲料水は 10 Bq/kg、これに加えて乳幼児食は50 Bq/kg が基準値となっています。
放射能ベクレルモニター AT1320CJP は、研究機関でも利用できる大型検出器を採用することで、食品、飲料水、土壌、材料などに含まれる放射能を最小 3 Bq/kg まで測定できます。国内の研究機関、行政、食品、化粧品メーカーで採用された実績があります。
6種類の物質を同時測定
高いエネルギー分解能をもつ大型NaI 検出器の採用により、同時に6種類の放射性物質を判定することができます。
食品測定に必要となる セシウム134, セシウム137 に加えて、ヨウ素131, カリウム40, ラジウム226,トリウム232も1回の測定で同時に計測できます。
すべての操作はパソコンから行いますので、専門的な知識がなくてもスタートボタンを押すだけで簡単に測定することができます。
校正
ベクレルモニター AT1320CJP は、国際的なトレーサビリティをもつ放射線源によって校正が行われています。この校正が正確な放射能(ベクレル)測定結果に対して信頼の基礎となっています。
機器の測定精度を維持するには、定期的な点検と校正が必要になります。ベクレルモニター AT1320CJP は、日本国内で点検・校正が行える体制が構築されており、年に1回の校正点検も1週間で完了できます。
50ミリの鉛遮蔽容器
材料や食品に含まれる放射能を厳密に測定する際に最も課題となるのは、測定する部屋の壁、コンクリート、そして測定する人間の体そのものに含まれている自然放射線です。これらは測定する食品や材料に含まれている放射能よりも何倍も強いことがあるため、影響を無視することができません。
AT1320CJP は、小型測定器としては最大クラスの50mm厚の鉛・遮蔽容器(重量130kg)を採用しており、外界の放射線の影響を遮断することで、測定物だけに含まれる放射線を高精度で測定できます。
高密度を測定できる
ベクレルモニター AT1320CJP は、食品、飲料水のベクレル測定に加えて、木材、農業で使うような肥料、飼料、農薬、化粧品、基材など食品よりも重い材料も測定することができます。一方で測定できないは、石や金属などです。これらはたとえ粉末状に砕いたとしても測定することができません。
測定器が測定できる試料の密度は、0.1~3 g/cm3 までの範囲です。これは1リットルとして考えると、100g~3,000g の範囲となります。測定できるのは1Lで 3kgまでとなります。これを超える金属、鉱石や、逆に100g 以下の乾燥して空気を多量に含むスポンジのようなものは測定することができません。
最大密度 3g/cm3 まで測定できるベクレルモニターは、業界でも最高水準クラスの性能となっており、食品メーカーや多くの研究開発機関で利用できる性能となっています。
点検機能
ベクレルモニター AT1320CJP には、測定器の性能を毎日、点検するための放射線源が付属しています。この放射線源は、農業で使う肥料と同じカリウムです。単なる肥料ですが、カリウムは代表的な自然放射線であり、わずかですが放射線が出ています。
食品などを測定する前に、この放射線源(カリウム40)を測定器にセットし10分ほど自己診断検査を行います。これにより放射線測定器は測定精度が一定水準以上となるように自動調整が行われます。
この点検作業を行うことで、食品や材料のベクレル(放射能)測定を高精度で実施できるようになります。
マリネリ容器
測定器には専用の容器が付属しており、マリネリ容器と呼ばれています。この容器は中心部が膨らんだ特殊な形状の容器となっており、膨らんだ部分に検出器が入るようになっています。つまり食品で検出器を包みこむような形状になっています。
容器が特殊な形状であるため、中に入れる食材や材料は細かくする必要があります。
粘度のある食品や、ゴツゴツした塊を入れる場合には隙間ができやすくなりますが、内部に空洞や隙間があると測定時間が余計に長くかかります。そのため容器の中にできるだけ材料や食材を詰め込んで、容器あたりの重さを重くした方がより短い時間で正確な測定ができる仕組みになっています。
判定時間3分
日本の食品に対する放射能(ベクレル)基準値は、100 Bq/kg です。測定する食品が、基準値よりも上か下かの判定にかかる時間は 100 Bq/kg 基準値の場合には約3分です。明らかに放射線量が高い場合には、1分以内で100 Bq/kg に対する判定が可能です。大型検出器を採用することで、測定時間の大幅な短縮を実現しています。
さらに高精度に飲料水レベルの基準値 10 Bq/kgで判定するには、40~60分程度の時間がかかります。
最小の検出下限値 3.7 Bq/kg まで測定する場合には、4~5時間ほどの時間がかかります。
日本の食品基準値に対応
日本の食品基準値には、3タイプありますが、水から食品まですべての基準値に対応した測定ができます。
- 10 Bq/kg 水
- 50 Bq/kg 乳幼児食品・牛乳
- 100 Bq/k 食品
放射線は出たり出なかったりする性質があるため測定するタイミングによってわずかに測定値が変わります。そのため食品の基準値を判定する場合には、誤判定となる可能性が1%以下となるような判定方式を採用しています。
購入後、年に2回ほど実行する手順
空の容器で3時間の測定をします。次は蒸留水を容器にいれて3時間、合計6時間の測定を行います。これで測定器の設置された環境の放射線量を測定しています。
毎日の測定前に性能の自動チェック
付属の放射線源 K40 をいれて10分測定します。
これは測定する前に1回必要です。
食品の測定手順
食材や材料を専用の容器に詰めます。できるかぎりたくさん入るように粉砕してください。
パソコンの測定アプリから測定開始ボタンを押せば、自動的に測定が始まります。 100 Bq/kg の食品判定であれば、3~5分あれば測定が完了します。
測定結果は、印刷することができます。(PDF出力例)
信頼度99%の判定
測定値と測定誤差
食品の放射線測定を行うと測定結果は、次のように2つの数字(平均値[Bq/kg] ± 誤差[%]) で表示されます。
この数値の読み方ですが、今回測定した食品に含まれる放射能は 100 [Bq/kg]である、ということができます。 しかしこの数字は何度か測定した結果の平均値です。
たとえば100回ほど測定したとすると、それぞれの測定では80,90,100,110,120 といった具合で平均値100を中心にして測定値がばらついていると考えられます。
100[Bq/kg]の後ろにある±20[%]は、平均値 100[Bq/kg]を中心にばらついている測定結果の99%が含まれる範囲を示す数字になります。
今回の数値では100[Bq/kg]の±20%、すなわち80~120[Bq/kg]の範囲の中に100回測定したうちの99回の測定結果が含まれているということです。これを分布図にすると、右図のようになります。
測定結果の99%という数字は、厚生労働省 - 食品中の放射性セシウムスクリーニング法で定義された誤判定を1%以下にするという判断方法に基づいています。 このベクレルモニターAT1320CJPでは、99%の測定値が含まれる上限値より基準値が低くければ、測定した食品は安全であるという判定方法を採用しています。
基準値が125[Bq/kg]の場合、測定結果の99%の上限値である120[Bq/kg]は基準値を下回っているので安全といえます。
測定結果の例1
平均値30 [Bq/kg] ± 誤差 100 [%]です。誤差が非常に大きいため、 その範囲は0~60 [Bq/kg]となり誤差の上限値は 60 [Bq/kg]です。
食品の安全基準値が 100 [Bq/kg]の場合には、この食品は基準値以下であるということができます。
食品の放射能測定において、短時間しか測定しない場合には誤差が大きい状態となります。 ですが短時間の測定でも基準値と誤差の上限値が離れていれば、基準値以下と判定することができる例です。
測定結果の例2
平均値80 [Bq/kg] ± 誤差 30 [%]です。誤差の範囲は56~104 [Bq/kg]となります。
食品の安全基準値が 100 [Bq/kg]の場合には、この食品は基準値を超えているということになります。
しかしながら、誤差の上限値の104は基準値100に対して非常に近接しています。このような場合、さらに測定時間を長くしていくと、場合によっては基準値以下になることもあります。 一般的に測定時間を長くしていくと誤差が小さくなることがあるからです。
日本の新しい食品に対する放射線基準値
食品 | 暫定基準値 [Bq/kg] | 新基準 [Bq/kg] |
---|---|---|
水 | 200 | 10 |
牛乳・乳製品 | 200 | 50 |
乳幼児食品 | - | 50 |
野菜 | 500 | 100 |
穀物 | ||
魚・肉・卵 |
食品衛生法
東京電力 福島第一原子力発電所での事故により、肉、魚、野菜、きのこ類など、広範囲の食品に放射性物質が含まれる事態となっています。
事故から約1年間は、暫定の値として 500 Bq/kg(1kg あたり 500 ベクレル)が食品に対しての安全基準値となっていました。
その後、食品安全委員会における放射性物質の食品健康影響評価や、厚生労働省薬事・食品衛生審議会の答申を受けて、2012年4月1日より食品衛生法(昭和22年法律第233号)の規格基準値が、表のように改正されました。新基準では一般食品は 100 Bq/kg 以下、乳幼児食品は 50 Bq/kg という規制値です。
なぜ、食品が 100 Bq/kg なのか?
放射性物質のうち、セシウムだけが規制の対象となっており、基準値になっています。
福島原発事故から放出された放射性物質のうち、半減期が1年以上の放射性物質には、セシウム134, セシウム137, ストロンチウム90, プルトニウムル, テニウム106などがあります。
これらの放射性物質の中では、セシウムが一番測定しやすい特性を持っています。そこでセシウムだけに注目し、100 Bq/kg を超えていなければ、他の核種(放射線を出す物質)は存在している比率から考慮しても、年間全体で被ばく線量が1ミリシーベルトを超えない、という考えに基づいて基準値が設定されています。
右の表は、食品から受ける年間の被ばく線量が 1ミリシーベルト以下となるような食品の基準値を 1kg あたりに逆算したものです。全年齢を通しての最小値は 120 Bq/kg です。 この検討からセシウムの新しい基準として 100 Bq/kg が設定されています。
表の数値は、校正労働省の資料「食品の基準値基準値の設定リーフレット版」より抜粋。
年齢区分 | 性別 | 摂取限度値 [Bq/kg] |
---|---|---|
1歳未満 | 男女 | 460 |
1歳~6歳 | 男 | 310 |
女 | 320 | |
7歳~12歳 | 男 | 190 |
女 | 210 | |
13歳~18歳 | 男 | 120 |
女 | 150 | |
19歳以上 | 男 | 130 |
女 | 160 | |
妊婦 | 女 | 160 |
全年齢、性別での最小値 | 120 |
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校正と点検
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ベクレルモニター AT1320CJP 仕様
-
製品の分類
- ベクレルモニター
-
シンチレーションサイズ
ϕ 63 × 63 [mm] -
検出器
NaI(Tl)シンチレーション検出器
ϕ 97 × 350 [mm] -
50mm 鉛遮蔽容器
高さ : 700 [mm] × ϕ 600 [mm] -
接続ケーブルボックス
95 × 51 × 33 [mm] -
機器固有の背景放射線量
2[cps]以下(137Cs) -
測定下限値
3 Bq/kg
※99%での判定下限値10Bq/kgを実現するための理論値。 -
利用前のテスト時間
10分 -
動作温度
0~40 [℃] -
動作湿度
75 [%]以下(30℃) -
測定の固有相対誤差
± 20 [%] -
エネルギー分解能(137Cs)
8.5 [%] -
エネルギー範囲
50 [keV]~30 [MeV] -
チャンネル数
1024 -
測定下限値
1L容器で測定時核種
測定下限値
[Bq/kg]131I 3~4 × 105 134Cs 3~1 × 105 137Cs 3.7~1 × 105 40K 50~2 × 104 226Ra 10~1 × 104 232I 10~1 × 104 -
測定時間(目安)
1時間で測定できる下限値、1L容器、偏差±50%(P=0.95)核種
測定下限値
[Bq/kg]131I 4 134Cs 4 137Cs 5.7 40K 78 226Ra 12 232I 10.4 -
特徴と機能
- 高感度シンチレーション
- 基準値との判定
- 背景放射線の測定
- 背景放射線の変化の簡易チェック
- マリネリ容器の汚染度チェック
- 温度依存性を考慮したエネルギー校正の自動補正機能
- スペクトルデータ出力
-
付属品
- 測定器本体(2kg)
- 遮蔽容器(125kg)
- マリネリ容器15個
- 校正証明書
- Windows用ソフトウェア
- ノートパソコン(14インチ相当)
-
電源
USBケーブルによりパソコンから供給 -
防水・防塵
-
パソコンとの接続
USB -
食品測定のためのソフトウェア
Windows 10,11対応
-
保証
- メーカー保証1年
- 初期動作保証
-
ダウンロード
-
規格
- 厚生労働省 - 食品中の放射性セシウムスクリーニング法
-
搭載機能